162.現実主義者の+αスペック ページ8
「なにやってるんですか、こんな所で。」
呆れたようなその物言いにハッとして振り返る。
するとそこにはぬらりさんが少し疲れた表情で立っていた。
「あ、…えっと、ぬらりさん。ごきげんよう？」
思わず変な挨拶を返してしまった私を見て、ぬらりさんは思わず右手で顔を覆った。
「あの王にしてこの王妃あり…ですか。全くいつになったら私の心労は減るのでしょうね。」
盛大な溜息をついてからぬらりさんは私をジトッとした目で睨んだ。
「こんな所で話ていたらただの変な人ですよ。まぁ大方A様がからかわれただけなのでしょうが。」
「あはは…、すみません。…ん？」
あまりにも自然な流れだったので思わず聞き流してしまいそうになる。
頭の上にハテナを浮かべている私を見て、ぬらりさんは再び溜息をついた。
「フレイア様とのご歓談でしたら人目のつかない所でなさったらよろしいかと。ここでは誰に見られるかわかりませんからね。」
「あ、はい。…でも、どうしてフレイアがここにいるって…。」
半信半疑のまま尋ねる私にぬらりさんはいつものポーカーフェイスに戻る。
「わかりますよ、A様の様子を見ていれば。そこにいらっしゃるのでしょう？」
それからぬらりさんはフレイアの浮かんでいる空間に目を向ける。
フレイアはというと、さも当然といったように優しく微笑んでいた。
「…見えるんですか？」
「残念ながらわたしには見えません。ですがなんとなく温かい気をそこから感じるのです。」
その言葉に私は目を丸くする。
この屋敷一番の現実主義者で、そういった類の物は信じそうもないぬらりさんがフレイアの事を信じてくれた。
それだけで私の心は段々とほんわか温かくなっていく。
信じてくれる人がいる。
ただそれだけの事なのに、今よりも少し強くなれるような気がした。
『ぬらりは昔から頭は固いけどこういう事には素直なんチュよね。』
フフフ…と笑うフレイアの優しい声を聞きながら私はキュッと唇を噛みしめる。
今のぬらりさんなら私の問いに素直に答えてくれるような気がした。
「あの…、ぬらりさん。」
「はい。」
オズオズと口を開く私にぬらりさんはキョトンとした目を向ける。
私は目を閉じ一呼吸置いた後、バッと顔を上げた。
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湖月さくら(プロフ) - アミュレットさん» アミュレット様。いつもありがとうございます。その後こうなっています(笑)。エンマ大王様のドキドキを楽しんで…いやいや伝わっていただけたら嬉しいです。これからどうなるのか、どうぞお楽しみくださいね。よろしくお願いします。 (2018年4月29日 2時) (
レス) id: 6e3a0f3a7d (このIDを非表示/違反報告)
アミュレット(プロフ) - どうなるのか、ドキドキします！ (2018年4月26日 22時) (レス) id: ca1512717a (このIDを非表示/違反報告)
湖月さくら(プロフ) - エマさん» エマ様。初めまして。ご覧いただきましてありがとうございます。大好きだなんて本当に嬉しいです。いえいえ、私はまだまだ未熟者でして…。皆さんに楽しんでいただけるように頑張ります。これからもどうぞよろしくお願いいたします。 (2018年4月26日 8時) (レス) id: 6e3a0f3a7d (このIDを非表示/違反報告)
エマ - はじめまして。いつもこのシリーズを読んでます。大好きなシリーズです！私もこんなのが書けたらなぁ…。 (2018年4月25日 5時) (レス) id: 31fc5a4b43 (このIDを非表示/違反報告)
湖月さくら(プロフ) - 愛鬼さん» 愛鬼様。お久しぶりです。お楽しみいただけたようで良かったです。果たしてエンマ大王様の願い事は何ぞや…。最後までどうぞご覧くださいね。これからもよろしくお願いします。 (2018年3月19日 1時) (レス) id: 01629e384a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：湖月さくら | 作成日時：2018年3月11日 3時
