第十九話 ページ21
「巴衛〜」
…誰か来た
男は振り返り、私を突き飛ばす
「きゃっ⁉」
白銀の妖狐は、外へ出て後ろ手に戸を閉める
取り残された私は混乱するしかなかった
…何だったの、あの狐
綺麗な狐だったけれど、あの獲物を動けなくするような瞳には恐怖を感じた
今は外にいるけれど、いつ戻ってくるか分からない
その上、やって来た「誰か」は間違いなく白狐の仲間だろう
見つかればまず助からないだろう
逃げなければいけないけれど、戸はあの白狐が塞いでいる
気が焦る中、白狐と「誰か」のくぐもった会話が耳に入る
「巴衛〜、いないと思ったらこんなところで油売ってたのかよ。」
低い声、男の人かしら
「雨宿りだ、濡れたくないからな。」
こちらは白狐の声だ
とりあえず、黒狐の娘を見つけたぞ、と報告されていないことにホッとする
って話聞いてる場合じゃない、他に出口は無いのかしら
「付き合いわりいなぁ。
美人がいるって聞いてきたのに、村にはババアと醜女しかいねぇ。
ぱらぱら逃げたやつも多いからなあ、混じってどっか行っちまったか。」
聞く気は無くても会話が耳に入ってくる
「小娘にまで逃げられるとは焼きが回ったなぁ、悪羅王。」
…悪羅王！？
今、外にいるのは村を襲った張本人だ
見つかれば、まず良い目には合わないだろう
ますます心臓が早鐘を打つ
その時、部屋の隅に空いた穴を見つけた
不幸中の幸いだ
音を立てないように穴から這い出て、まだ雨の降りしきる中を走り出した
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彩野(プロフ) - 名前変換できない設定にしてあるので、名前は変わらないようになってます！ (2017年11月27日 17時) (
レス) id: d41b0db63a (このIDを非表示/違反報告)
Loveasu42211(プロフ) - 名前変換出来てない (2017年11月27日 16時) (レス) id: edb9424f8f (このIDを非表示/違反報告)
ミカグラ - ファイトです！！ (2017年10月9日 13時) (レス) id: 351c4c451d (このIDを非表示/違反報告)
彩野(プロフ) - ミカグラさん» 凄く嬉しいです！そう言ってもらえるのが、何よりの励みになります！昨日ようやく文化祭も終わったので、更新頑張ります！！ (2017年10月9日 12時) (レス) id: d41b0db63a (このIDを非表示/違反報告)
ミカグラ - やっぱり面白いですね！読んでて飽きません。更新頑張ってくださいね！！ (2017年10月8日 23時) (レス) id: 0b96776440 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彩野 | 作成日時：2017年8月7日 15時
