キミとぼく (ページ29)

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君の存在16 ページ29

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｢海人は優しくて信頼できるから、相手が海人なら諦めようって何度も思った...｣

やめてや

それ以上聞きたない...

｢でも...やっぱり...むり｣

やめてっ！

そんなん、まるでまだ俺のこと好きでいてくれてるみたいやん…

せっかく彼女を理由にしてケジメをつけることができたのに…

｢俺は廉のことが好き。俺には廉が必要なんだっ…廉が誰を好きだろうと、相手が誰だろうと、お前を手放すことはできない…廉は俺のすべてだから...｣

大好きな声で“好き”なんて言われたら、気持ちがまた戻ってしまう。

もう俺には…紫耀の隣におる資格ないのに…

俺は紫耀の未来にとって…邪魔者でしかないのに…

でも

俯いていた顔を上げた紫耀の目には、うっすら涙の膜が張られていて、俺のついた嘘のせいでどれほど苦しめていたのかが痛いほどに伝わってくる。

｢お願い...廉。もう1回考え直してほしい。｣

真っ直ぐに想いを伝えてくれる紫耀。

そんな紫耀を見たらもう逃げることなんかできへんよ。

俺も正直に全部話そう。

それで最後に別れを告げよう。

｢...ごめん、紫耀。それ、嘘やねん。｣

｢えっ…｣
キョトンとした顔で見つめられる。

｢他に好きな人ができたっていうのは嘘やねん。俺の好きな人は…紫耀だけやから。｣

｢好きな人...俺...？｣

｢うん｣

｢じゃあ、なんで別れるなんて言ったんだよ？｣

もう逃げへん。ちゃんと正直に言う。

｢紫耀さ、いつか絶対に結婚するって昔からよう言ってたやん？結婚して子供もほしいって。でもな、俺やったらそれができひんのよ。結婚することも、子供を産むことも。......みんなに認めてもらうことも｣

改めて言葉にすると心が痛くなる。
もし、俺が女やったらこんな事で悩まんでもよかったんかな。
堂々と紫耀と付き合って、いつか結婚して可愛い子供に囲まれて、一生を紫耀とともに過ごすことができたんかな。

……なんで俺は男なんやろ

｢紫耀はその全部を叶えることのできる女性と一緒におる方がええんよ。やから...｣

これでほんまに最後。

たくさんの愛しい思い出をありがとう。
いつでも甘やかしてくれてありがとう。
どんなときも寄り添ってくれてありがとう。
あの時告白してくれてありがとう。

...俺と出会ってくれてありがとう。

｢別れよう｣

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