ら民町のハロウィン事情〜改〜

16話「試練開始」 ページ16

朝の準備、と言っても顔を洗ったり着替えたりするだけ。



朝食も取ろうかと思ったが、食堂に居たレウクラウドさんに





レ「今日らっだぁに朝早くから叩き起こされて呼ばれてたでしょ？

まだ朝ご飯の準備出来て無いから先にそっち行ってくれると嬉しいよ…」





何故か底に丸い穴が空いているフライパンを修理しながら言われたので



大人しくらっだぁさんの所に向かう。






ら「あ！A！こっちこっち！！」





らっだぁさんを探していると食堂の反対側。



一階左側の通路の真ん中にらっだぁさんが居た。



らっだぁさんは私を見かけるなり大きな声で私に手を振った。





『どうしたんですか…？』




ら「おう！今日は"おつかい"をやってもらおうと思って！」




『おつかい、です…か？』





おつかい。



親が小さい子におつかいさせる…と言ったものか。



と言ってもここは人間の生活とは異なる異形の場。



そんな生ぬるい物ではないだろう。






ら「今から緑色と"きょーさん"を起こしに行ってきて欲しい」




『…え？』





またもや呆気にとられる。



《起こしに行く》ただそれだけ？





『…緑色さんは分かりますが、きょーさん。という方は…？』




ら「あ、もしかしてまだきょーさんに会ってない？」





私は静かに小さく頷く。



するとらっだぁさんは腕組みをして「うーん」と唸る。





ら「ま、別に最初は緑色からでいっか。はい！A！」





そう言うらっだぁさんに何かを手渡される。



…懐中、電灯？





ら「このおつかいねー。毎年来た生贄にやらせてるんだけどね〜」





と、一悶着置いてらっだぁさんは真剣な目でこちらを見る。





ら「ちゃんと遂行してきた子。たったの一つまみなんだよね」




『…ぇ。』





そう言うとさっきまでなにもなかった壁に重そうな鉄扉が現れる。



扉はひとりでに開いた。中からはただ。ただ闇が漏れ出してくる。



"地下"



するとらっだぁさんに手を引かれて扉の中に押し込まれる。



そして重い扉を閉められる。





『ちょっ…！』




ら「緑色は"大きな音"に弱いから。いざという時に、な？」




『え、？』





その言葉を最後に、らっだぁさんの声は聞こえなくなった。



おつかい開始ってことだ。

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