514話です ページ26
「ユキ」
校舎のb棟にて。ポールを倒した恭弥さんは私にをはいこれ」と雨のボンゴレリングを手渡してきた。私はお礼を言った後で、ゆっくりと山本さんの近付く。
山本さんは意識が朦朧としているのか、瞳の焦点が合っていなかった。息苦しそうに呼吸をする彼の腕を優しく掴み、リストバンドの凹みにリングを差し込む。
プシュウと解毒剤が投与され、荒かった山本さんの呼吸が徐々に整ってきた。ふぅーーーっと山本さんは深く息を吐き出すと私と恭弥さんに笑いかける。
「サンキューな、ヒバリ、ユキも！助かったぜ」
一時はどうなるかと思ったぁと言葉を零す山本さんに、私はほっと息をついた。間に合ってよかった。
「校内で死なれると風紀が乱れるんだ。死ぬなら外へ行ってもらう」
死ぬなら、と彼は言うがそれは不可能だ。
今は最終決戦とも言えるこの大空戦真っ只中である。抜けようにも抜けられないだろう。
「あはは。なんだそりゃ」
「……」
ケタケタ笑う山本さんは一度深呼吸すると立ち上がった。
「あ、山本さん……もう行くんですか？」
「おう！少し休憩したからな。体は若干重いが動けねえほどじゃねえし」
竹刀ケースを肩にかけ、山本さんはにっと笑う。その笑顔を見た後で、恭弥さんは何も言わずに踵を返した。
ふらふらとした足取りで出口へと向かう恭弥さんは途中で肩を壁にぶつける。ぎょ、っとする山本さんは大丈夫かると心配そうに声をかけるが、なんのことだと彼はしらばっくれた。
あたかも自分は壁になんかぶつかっていない。ましてやふらついてもいない。何も起きなかった、と体裁を取り繕う彼に私と山本さんは顔を見合わせた。相変わらず意地っ張りで頑固である。ただでさえ立ってるのも辛いだろうに……まったく。
私は隣にいる山本さんに他の人達の解毒をお願いすることにした。山本さんは快く引き受けてくれる。流石持つべきものは友だ。彼なら安心して任せられる。
「ユキはどうするんだ？俺と一緒に行くか？」
「は、何言ってんの？ユキはここで僕と一緒にいるに決まってるじゃない」
いや、一緒にいるなんて一言も言っていない。
……言ってはいないのだが、ここで否定すると後々面倒なことになりそうだ。
私は笑顔を作り、はいと返事した。
「すみませんが、恭弥さんとここにいたいと思います」
「ん？そうか？じゃあ暫く休んでてくれや」
助けてくれてありがとな！！ユキ、ヒバリ！！
そう笑顔で言うとそのまま去っていってしまった。
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夜野兎(プロフ) - 逃亡者さん» 返信遅くなりすみません！！ここまで見てくださりありがとうございます！体の心配までしていただいて……恐縮ですっ、ありがとうございますっ。コメントありがとうございました！！ (2020年3月26日 18時) (
レス) id: 99e7c54c4d (このIDを非表示/違反報告)
逃亡者(プロフ) - 初コメント失礼致します。前から少しずつ読み、漸く追いつきました。大変面白く、続きが楽しみです。また更新出来る時に、気が向いたら更新してくださると嬉しいです。体調を崩さない程度に頑張ってください。 (2020年3月16日 20時) (レス) id: 3951c8a1b8 (このIDを非表示/違反報告)
夜野兎(プロフ) - ルイスさん» はじめまして！！返信おそくなりすみません……ありがとうございます！更新頑張ります！！ (2020年2月15日 16時) (レス) id: 99e7c54c4d (このIDを非表示/違反報告)
ルイス(プロフ) - はじめまして!今日この作品を見つけいっき読みしてしまいました!これからも更新頑張ってください! (2020年1月29日 23時) (レス) id: d4f9260aae (このIDを非表示/違反報告)
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