509話です ページ21
「……そ、れで…？」
方法があるというなら教えてもらおうではないか。
寝そべっている状態から、そう問いかけるように見上げた。彼は私の心境を悟ったのか、ため息をついた後、こう言葉を紡いだ。自身に宿る力を使え、と。
「……ちから…？」
「そうだ」
「……そんなの、な……」
「ない、なんて言わせないからな。あるからな」
はあ……とりあえず遮るのはやめてくれ。こっちは一つ一つ言葉を言う度に少しずつ体力を消耗しているというのに。
「まあいきなりそんなこといわれてもできるはずないという気持ちはよくわかる。だがやるしかない」
それぐらいわかるだろう？問いかけるように少し首を傾げるアルジェントさん。無論そんなこと知っている。
でもだからといってやれと言われてできるものではないだろう。死ぬ気の炎を灯すことはおろか、感じたことさえないのだ。ツナなら気合と根性で出来るかもしれないが私は無理である。
「だーかーらー最初から諦めた目をしてんな、馬鹿。ったく意外と諦めるの早くないか？お前」
根性と情熱でなんとかなると考えているような熱血漢ではない。これでも現実主義なので出来ないことはしない主義だ。そう自分自身、自負している。
だからと言って諦めてはいない。
………いないのだが無理なものは無理だ。
心の中でやさぐれているとアルジェントさんは何を思ったのか、両手で私の手を握ってきた。思わず目を瞠る。一体何をする気だろうかと見上げているとアルジェントさんは目を閉じる。
──シャラン。
彼の耳についているイヤリングが涼しい音を奏でた。と同時に吹いていた風が突如として私とアルジェントさんを取り囲むように優しく吹き荒れた。
こちらに被害はない。むしろ心地の良い風だ。例えるなら暖かな春の日に吹く心地の良い暖かな風。
無論驚きはある。何故いきなり風が強くなったのか、瞠目しているとアルジェントさんの手が光を放った。淡い緑色の光に目を引かれる。
アルジェントさんは微かに目を開けた。目蓋の下から自分と同じ綺麗な翡翠色の瞳とカチリ合う。
彼の手から淡い光を何か温かなものを彼の手から感じる。それが体中を巡り、先ほどよりも呼吸がしやすくなった。
これは一体……
疑問をぶつけるように視線を向けるとアルジェントさんはふっ、と笑みを浮かべた。
「んじゃ。実践は現実でやってみろ」
ユキ、考えるよりも感じろ。そうアルジェントさんは言うと視界に広がる世界が暗転した。
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夜野兎(プロフ) - 逃亡者さん» 返信遅くなりすみません！！ここまで見てくださりありがとうございます！体の心配までしていただいて……恐縮ですっ、ありがとうございますっ。コメントありがとうございました！！ (2020年3月26日 18時) (
レス) id: 99e7c54c4d (このIDを非表示/違反報告)
逃亡者(プロフ) - 初コメント失礼致します。前から少しずつ読み、漸く追いつきました。大変面白く、続きが楽しみです。また更新出来る時に、気が向いたら更新してくださると嬉しいです。体調を崩さない程度に頑張ってください。 (2020年3月16日 20時) (レス) id: 3951c8a1b8 (このIDを非表示/違反報告)
夜野兎(プロフ) - ルイスさん» はじめまして！！返信おそくなりすみません……ありがとうございます！更新頑張ります！！ (2020年2月15日 16時) (レス) id: 99e7c54c4d (このIDを非表示/違反報告)
ルイス(プロフ) - はじめまして!今日この作品を見つけいっき読みしてしまいました!これからも更新頑張ってください! (2020年1月29日 23時) (レス) id: d4f9260aae (このIDを非表示/違反報告)
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