489話です ページ32
「でも流石に二人きりっていうのは……」
「何言ってるんですか。群れることが嫌いな恭弥さんですよ？」
「い、いやまあ確かにそうだけど！！兄さんはヘタレで！！とにかくヘタレだけ……い、いたた！！」
いや誰も彼のこと、ヘタレだなんて言ってない。
と言おうとした……その時、私の隣にいた恭弥さんが綾の頭を思い切り鷲掴みにした。しかも鷲掴んでいる手はかなり力が入っているようで綾はとても涙目である。が恭弥さんは気にする素振りすらなくこちらを見る。
「とりあえず君は危機感というものを持っておいた方がいい。いくら僕が怪我しているとはいえ、君は女で僕は男なんだから」
「い、いや何言ってるんですか。それとこれとは別です。それに私達は幼なじ……」
私達は幼馴染ではないか。
そう言おうとした口が何かで塞がれた。唇に触れる柔らかく温かな感触。それがキスだと知るまでかなりの時間を要した。大きく目を見開いたまま固まる私に彼はそっと唇を離す。
「これでも。君は僕のことを幼馴染だと言うの？」
「何……いって……」
囁くような言葉に震える唇を押さえ一歩下がる私。頭が真っ白で何も考えられなくなってる。今、彼は私に何をした？キスを、私にキスをしていなかったか。綾の目の前で！？？
彼女に見られていただなんて彼と初めてのキスをした事よりも見られていたことに対して羞恥が襲う。
彼の瞳は未だに熱を帯びていた。
「それは自分で考えなよ。でもこれだけは言っておく。こういうことするの君しかいないから」
「は？」
「手当てはしなくていい。家に帰ったら一人でするつもりだったし」
じゃあね。こちらに背を向け歩き出す恭弥さん。その手にはしっかりと綾が担がれていた。
「え！なんで私担がれてんの！？一人で歩けるよ！！ちょっ兄さん聞いてる？兄さーーん！！痛い！無言で頭叩かないで！！ヘタレヘタレ言ったの謝るから！！あ、はい。黙ります、黙りますから無言でこっちに殺気向けるのやめて！！」
などと独り言のようなことを叫びながら。
・
彼が一体何を考え、何故あのようなことをしたのか。この時の私は全く分からなかった。
でもこれだけはわかる。彼は…私に何かを伝えたくてこういうことをしたのだと。
でもその
何故彼はあのようなことをしたのか。そして自分で考えろと言った彼の言葉の意味が気になってその日の夜眠れなかったのは言うまでもない。
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夜野兎(プロフ) - さにー☆彡さん» コメントありがとうございます！！いえいえこちらこそ返信遅れてすみません！！はい、これからも頑張ります！！ (2019年5月12日 7時) (
レス) id: 3e9e57d427 (このIDを非表示/違反報告)
さにー☆彡(プロフ) - 続編おめでとうございます！！お祝い遅れてごめんなさい！！いよいよリング戦も佳境に入ってきますね！これからも頑張って下さい！！ (2019年5月9日 7時) (レス) id: 6034bec340 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜野兎 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hovel/AKOwww1
作成日時：2019年5月5日 0時
