472話です ページ14
マーモンが指を回すと、その動きに連動してクロームが宙を舞い地面に叩きつけられる。あうっと呻きを零すクロームは、慌てて体を起こし三叉槍を抱き寄せた。それはまるで自分の宝物を誰にも取られたくない子供のように。
無論、敵がその仕草に気付かないわけもなく、ムムっとマーモンが呟く。
「どうやらその武器は相当大事なもののようだね」
ビクッと彼女の肩が跳ねた。しまったと青褪めるクロームはダメ！と三叉槍を隠そうとする。
「ダメーーッ！！！」
やめてくれ。これだけは！そう瞳で訴えるクローム。しかし敵とてそう甘くはない。弱点を見せてしまったが最後、クロームの想いは虚しく三叉槍は粉々に砕け散った。
刹那。ゴフッとクロームが噎せた。その手は真っ赤に染まっている。血だ。ゴホゴホと血を吐きながら咳き込むクロームはその場に倒れてしまった。
「どーしたんだ！？顔色が土色に」
「おい！！あれを見ろ！！腹が！！」
ぺしゃんこに潰れる腹に獄寺さんが叫ぶ。陥没していく、と。さてはこれも幻覚かと叫ぶツナにマーモンは否定した。これは現実だと。
「どーなっている？何だ、この女」
クロームを観察するマーモンがぽつりと呟く。
「俄かに信じがたいが彼女は幻覚でできた内臓で延命していたらしいね」
「幻覚でできた内臓だって！？」
「それで幻覚のコントロールを失いお腹が潰れてしまったんですね」
「じゃあ本当にあの娘、内臓がないの！？」
「骸……様……力になりたかった」
荒ぐ呼吸。クロームがポツリと言葉を零すと一筋の涙が頬を伝った。
『上出来でしたよ。可愛い僕のクローム。君は少し休みなさい』
その時。聞き覚えのある声が頭の中で響いた。ぞわりと一気に総毛立つ。ツナも感じたのだろう、一瞬で彼の顔から血の気が引いた。
それと同じタイミングで突如霧が発生しクロームを包み込んでいく。
「なーに最後の力を振り絞って自分の醜い死体を隠そうとする女術士によくある行動パターンさ」
それは違う。確かに今彼女は死にかけているが今感じた悪寒と、聞こえた声から察するに彼女は誰かに守られている。
そして一つ疑問が浮かんだ。彼女の内臓についてだ。マーモンは言った。彼女は幻覚で出来た内臓で延命していると。
つまり彼女に幻覚で内臓を補っていた人物がいるということだ。私が想像するに、こんなこと出来るのは一人しかいない。
まさか。本当の霧の守護者は……
「随分いきがっているじゃありませんか。マフィア風情が」
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夜野兎(プロフ) - さにー☆彡さん» コメントありがとうございます！！いえいえこちらこそ返信遅れてすみません！！はい、これからも頑張ります！！ (2019年5月12日 7時) (
レス) id: 3e9e57d427 (このIDを非表示/違反報告)
さにー☆彡(プロフ) - 続編おめでとうございます！！お祝い遅れてごめんなさい！！いよいよリング戦も佳境に入ってきますね！これからも頑張って下さい！！ (2019年5月9日 7時) (レス) id: 6034bec340 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜野兎 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hovel/AKOwww1
作成日時：2019年5月5日 0時
