128話です ページ32
「他の草食動物の泣き顔は何とも思わなくて普通に咬み殺すことが出来るんだけど、君の場合、なんかゾクゾクするんだよね」
なんでだろうね、なんて笑いを含んだ言葉を平然と言う恭弥さんに私は青ざめた。
「……まあ半分ぐらい嘘だけど。ってユキ、暴れるな」
怪我が悪化したらどうするの、恭弥さんはと言う。けれど仕方ないではないか、彼の言葉と雰囲気に身の危険を感じたのだから。
恭弥さんから逃げようとする私に、逆に暴れられないようにおさえこまれ、頭をパシッと叩かれる。
叩かれたところがあまり痛くないことから手加減はしたらしい。
ピタッと動きを止める私はジトッとした視線を彼に向ける。
嘘だとわかる嘘を吐いてもらいたい。つか半分ぐらいはって……
もう半分はどうした、とは怖くて聞けなかった。
「すみません。とりあえず離れてもらっていいですか？」
恭弥さんの負担にならないよう、出来る限り腹に力を込めて踏ん張ってるのかなりキツイんでと言うと恭弥さんは「そんなこと気にしなくていいのに」と呆れ気味に呟いた。
「……気にしますよ。恩を売りたくないので」
「君、たまにそうハッキリと言うよね。そういうところ嫌いじゃないよ」
「……別に好かれなくていいんですが……って痛い！！痛いです！！！」
グリグリと彼の親指が私のこめかみに食い込んでいる。
パシパシと彼の手を叩くと手を離してくれた。ついでに頭を掴んでいた手も。
「……いきなり何すんですか」
人間のこめかみは急所の一つに数えられている。だからそこを強く押されるとかなり痛いのだ。
若干涙目になりながら恭弥さんを睨むと、逆に睨まれた。
……私、彼を怒らせるようなこと言っただろうか。
と思ったら拗ねたようにそっぽ向く。いかにも不機嫌ですといった顔付きだ。
「さっさと寝れば。治るものが治らないよ」
「いや恭弥さんというお客が来てるのに寝れませんよ」
「いいから。布団に潜れば寝れるでしょ」
……しかも言葉がやけに刺々しい。
先程までのちょっと優しい恭弥さんはどこへ……
まあ今の恭弥さんの方がらしいと言えばらしいので文句は言わないが……
……もう少し口調を柔らかくしてくれないだろうか。なぜ不機嫌になったのか気になって寝づらい。
文句を言いたそうな私を察したのだろう。
恭弥さんは何も言わずに頭まで布団を被せた。
いきなりのことでむぐっと奇声をあげてしまったのは仕方ないと思う。
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夜野兎(プロフ) - 世空さん» ありがとうございます！！更新頑張ります！！ (2017年10月19日 10時) (
レス) id: e61c8df72f (このIDを非表示/違反報告)
夜野兎(プロフ) - 琉夏さん» あ、ありがとうございます！！これからも更新頑張ります！！ (2017年10月19日 10時) (レス) id: e61c8df72f (このIDを非表示/違反報告)
世空 - 続編おめでとうございます！これからの更新も楽しみにしてます！頑張ってください！！(●'д')bﾌｧｲﾄです!!! (2017年10月18日 7時) (レス) id: 9037f3b3d3 (このIDを非表示/違反報告)
琉夏(プロフ) - 続編おめでとうございます！これからも頑張ってください！ (2017年10月18日 1時) (レス) id: ef575bdd2b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜野兎 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hovel/AKOwww1
作成日時：2017年10月18日 0時
