幼馴染との縁を切るにはどうすればいいですか？【REBORN】

26話です ページ28

胸ぐらを掴み俯いた山本さんの顔を上げさせた。目を見開いて固まる山本さんに更に言葉を吐きます。

「私の弟であるツナは貴方と友達になれた事とても喜んでいました」

それは昨日の話だ。彼はとても嬉しそうに頰を緩ませていた。こちらまで嬉しくなってくるような、そんなわかりやすい笑顔を。

お風呂の時なんか鼻歌が聞こえてきた。

「ちょっ、ユキ！！な、何言ってっっ！！」

ツナは頰を赤らめますが当然スルーさせていただく。今は山本さんと話しているのだ、ツナはお呼びではない。

「ツナは貴方が飛び降り自 殺をはかった時、自分を責めていました」

青ざめて拳を握りしめ苦痛に耐えるような表情を浮かべて。

「ツナは私よりも優しい子なのです。優しくてまっすぐで純粋で。まあ諦めが早くて逃げ腰の負け犬体質はなんとかして欲しいですが」

「う、うるさいっ！！」

「そんなツナをこれ以上、悲しませないでください。そしてもう二度と命を絶つような、自分を粗末に扱うのはやめてください」

私の言葉に山本さんは目を見開く。そしてその後にくしゃりと泣きそうな顔をする。

「……悪かった。一番怖い思いをしたのはお前だよな」

そんなの当たり前だ。ツナが視界から消えた時、頭が真っ白になった。そして下敷きになろうとしたツナをみて肝が冷えた。

私は目の前で弟を、家族を失ってしまうのかと思った。もしもツナが死んでしまったら私はきっと山本を恨むと思う。いや恨む。断言できる。

私はへなっと座り込んだ。そして今更になって震えてくる体にツナは慌ててこちらに駆け寄る。

「だ、大丈夫？ユキ……その、ごめん……怖い思いさせて」

立てる？と手を差し伸べられる私はその手を取って立ち上がる。少し足が震えているがまあ立てないこともないから平気だ。

そしてお二方にニッコリと笑う。もちろん瞳は笑みを浮かべずに。

「ツナ、山本さん後で綾に殴られてください。それで許します」

「「……えっ？」」

私の言葉にピシッと固まる彼らに私は背を向け歩き出す。少しは反省すればいい。……綾に殴られた後で。

それから二、三日の間ツナと山本さんの頰が赤く膨れ上がったのは言うまでもないだろう。

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