幼馴染との縁を切るにはどうすればいいですか？【REBORN】

10話です ページ11

「そういえば彼もハンバーグが大好物でしたよね」

ふと思い出すは小学校の低学年の第3回お泊まり会の時だ。その頃から仲が良かった私と綾は何度かお互いの家でお泊まり会を開き泊まったことがある。

そう、あれは丁度冬の季節で雪が降り続くとある日だ。出されたハンバーグを見つめヒバリさんが無表情だった顔を少し緩ませ笑ったのだ。

いつも邪険に扱われる私からしてヒバリさんの笑う顔はあまりにも衝撃的で今でもその時のことは覚えている。

綾は少し目を見開いた後に頰を緩めた。

「よく覚えてるね、そんな小さい頃のこと」

「……まあ衝撃的なシーンでしたので」

「だね。いつもの兄さんなら無言で頰も緩めずに食べるもんね。あの頃の兄さんは今よりも横暴で思いやりのない暴君様じゃないもんね！！」

皮肉交じりに言い放つ綾にどうどうと宥める。

「にしても綾ん家の昨日の夕食はハンバーグだったんですね。ちなみに味付けは？」

「煮込み」

「あ、煮込みハンバーグですか、美味しそうですね」

「そーだよ！！美味しそうだったんだよ！！けれど兄さんが私の分のハンバーグを一つも残さず食べちゃったんだよっっ！！！」

……まあ綾は食いしん坊将軍ですからね。

食べることが好きな綾が好物を食われて怒らないはずがない。

「それで兄さん、その時なんて言ったと思う？『あぁ。綾の分も食べちゃった』だよ！！なーにが食べちゃっただよ、バカ兄さん！！知ってたくせに！！絶対わかってたくせにぃ！！」

そうヒバリさんの声真似をしながら怒る綾。その声は本人にそっくりでその場にいたクラスメートがびくりと肩を震わしたのは仕方がないと思う。

「まあハンバーグだけならまだ許せた！！」

まだあるのか……

ちょっと遠い目をしてしまった私は息を吐き話を促す。

「通算二十五回目だけどね」

「結構食べられてんじゃないですか」

少し呆れ気味に言えばそうなのよ、と綾は頷く。

「けれど！！だけどな！！一昨日草壁さんからもらったプリン！！ラ・ナミモリーヌで限定発売されてる濃厚メロンプリン！！一日50個限定の一個350円のプリン！！」

「プリンがどうしました？」

「それが今日食べようと思って我慢していたというのに食べたんだよ！しかも私の目の前で信じられる！？」

「信じられませんね」

「そうだろうそうだろう！！更に言えば謝罪一つすらないの！！ほんと、どーゆーことだろうねウチのアホ兄貴は！！」

棒読みで対応している私に綾は気付いていない。

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