演技4 ページ4
私の席は窓側だ。元々は真ん中だったのだが、いつの間にか端に移動させられていた。きっと同級生の仕業だろう。
これには嫌われる演技をしていたとはいえ、悲しさを感じた。でも、あいつらを陥れたいという気持ちはその何倍も強い。それだから演技をしてこれたと言うのもある。
それに、窓側の席も悪くはない。窓から入り込む風を心地よく感じていると、ふと正面に気配を感じた。
見上げれば、同級生が二人。
「…何ですか?」
灰原「君、転校生?」
「……え?」
灰原さんの質問に固まる。
え?私、幡森Aだって認識されてなかったの!?
つまり先程は知らない女が挨拶をしてきたから固まっていたのか。嫌われていたからではないと思うと少しホッとした。
七海「すみません。その席は使っている人がいるんです」
「あのそれーー」
七海「関わらない方がいいですよ。義姉を虐める最悪な女ですから」
「……」
それ、自分なんだよなぁ…
本人に言っちゃってるんだよね。わかっていないだけで。このまま勘違いさせているのは悪いと、私は自己紹介をした。
「私が幡森Aです。転校生じゃないですよ」
そう困ったような笑みをこぼしながら言うと、灰原さんは首を傾げ、七海さんは険しい顔をした。
七海「…何を言っているんですか?貴女みたいな方があんな女な訳がないでしょう」
どうやら信じてもらえていないみたい。メイクの使い方わからなすぎてとりあえず素の顔がわからないくらい適当に塗っていたからかな?
「いや、本当です。メイクと演技をやめただけで、私はその“義姉を虐める最悪な女”ですよ」
“義姉を虐める最悪な女”と言う言葉に、私の演技はやっぱすごいよねという嬉しさが半分。嫌われてるんだなぁという悲しさが半分という感じだ。
なので少し自嘲気味にそう言うと、七海さんは眉間にシワを寄せる。
七海「まさかーー」
夜蛾「A、話がある」
「夜蛾先生!」
七海さんの言葉を遮り教室に入ってきたのは、私の事情を知っている人、夜蛾正道先生だ。
私は彼に駆け寄り、やっとですよと笑顔を見せる。夜蛾先生はなんとも言えぬ顔をしたが、私は無視をして教室を出た。
ーーーー*
灰原「えっ、もしかしてあの子幡森さん?」
七海「いや、しかし…」
私が出て行った教室には、同級生二人の困惑の声が響いていた。
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AO777 - おとひびさん» 爆笑していただけて何よりです〜!いい感じにつながっているか本当に不安だったのですが、そう言っていただけてホッとしました。ありがとうございます! (12月17日 12時) (レス) id: e34a889bc1 (このIDを非表示/違反報告)
おとひび(プロフ) - クマのぬいぐるみ爆笑ですwww続きがあるとは思わなかったです、!いい感じに繋がってて楽しみです✨頑張ってください! (12月14日 21時) (レス) @page31 id: 72762186eb (このIDを非表示/違反報告)
AO777 - ぷりんさん» 毎度毎度本当にありがとうございます〜!神作、と今後も言っていただけるよう精進して参ります!頑張ります! (12月13日 21時) (レス) id: c3c7964942 (このIDを非表示/違反報告)
ぷりん - 本当に神作ですね!!更新頑張ってください! (12月12日 18時) (レス) id: 43dfb5bec0 (このIDを非表示/違反報告)
AO777 - なつきさん» こちらこそ嬉しいコメントをありがとうございます!五条さんの雰囲気づくりは大変で、手こずっていたのでそう言っていただけて安心いたしました。できる限り更新頑張ります! (12月9日 12時) (レス) id: c3c7964942 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:AO777 | 作成日時:2023年9月29日 18時