Engage Ring. (ページ4)

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1日、めっちゃ楽しかった。

ほんまに楽しかった。

Aちゃんも、いっぱい笑ってくれたし。

一泊してから帰るというAちゃんを

ホテルまで送る途中

ふと俯くAちゃんを除くと

携帯を眺めて固まっている。

"顔面蒼白" の文字がピッタリ当てはまるほど。

『Aちゃん？どないしたん？』

「…」

『Aちゃん？？』

「…」

『A！！！』

「廉くん…」

俺は、車を道の端に止めて

Aちゃんが手に持っていた携帯を見た。

まま: 暖翔が亡くなったって。

まま: 日本に帰ってくる時、

まま: 空港まで向かうバスに事故が起きて

まま: 明日、朝イチで帰れる？

…

もしかして、この間待ってたのも

暖翔ってやつのこと？

やとしたら、

あんなに嬉しそうに

幸せそうに待ってた人やんな。

「暖翔ね、優しいの、」

『うん。』

「…暖翔に会いたい」

『今から帰ろ。』

「え？」

『明日朝イチで帰るより車の方が早いわ』

「でも…」

『ええから、乗っとけ。』

それから、

暖翔のことを話し続けたAちゃん。

声を荒げることはなく

だけど泣いているのは確実で

Aちゃんが

静かに、1人の人を想って流す涙は

今まで見た中で

1番綺麗な涙だった。

俺はとにかく、Aちゃんを、

暖翔に、早く会わせてあげたかった。

まだ出会って間もないAちゃんのために

俺は何時間も何時間も車を走らせた。

隣には、泣き疲れて寝てるAちゃんがいる。

もしかすると、この時にはすでに

気付かないうちに俺のどこかで

Aちゃんを愛おしく思う気持ちが

芽生え始めていたのかもしれない。

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