エンドロールのその後で。【黒羽快斗】

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「つーかさ、なんだよ？大和くんが最下位ってLINE」


スーパーからの帰り道、繋いだ手をブンブンと振りながら快斗くんが言った。

そういえばそんなLINEも送ったっけ。

このまま行くとクビまっしぐらなんだよ、と伝えようとすると、快斗くんがムスッと唇を尖らせた。


「俺は撃たれて大ピンチだったというのに」

「だって木曜日はゴチ観ないと、って、…撃たれた？」

「あ」


思わず立ち止まると、快斗くんがやらかした、と頭を抱えた。

空港で会ってから今まで普段通りだったから、大きな怪我は無かったんだと安心していたけど。

…やっぱりキッド様のポーカーフェイスは見抜けない。


「どこ？まだ痛い？」

「…左腕。まだちょっと痛いけど、手当てしたし、心配すんな」


撃たれたという左腕には、さっきスーパーで買ったレジ袋が提げられている。

持つ、と引っ張ると、抵抗しても無駄だと思ったのか、快斗くんがしぶしぶ私に渡した。


「俺持てるのに」

「怪我人に持たせてられないよ」

「へーきへーき」


へらりと笑う快斗くんに、私はそれ以上追求するのをやめた。

きっと、他にもたくさん怪我をしたんだろうけど。言いたくないことを言わせる必要はない。

でも、今日は無理しないように見張っておかないと。


「とりあえず帰ったらゴチ観ようぜ」

「今週も面白かったよ！ダンス対決！」


私の気を逸らそうとしたのか、快斗くんが珍しくそんな事を言う。

録画してあるのか。いや、私が勝手に毎週録画の設定にしたんだったな。

…あ、でも今週は魚がドアップで映ってた気がする。

その場面は上手く飛ばさないとな。


ふふふ、と思わず笑うと、快斗くんが不審そうに私を見た。


「…そんなに楽しみ？大和くん観るの」

「え？そりゃあまあ…」


大和くんを観るのはもちろん楽しみだけど、快斗くんとこうやってのんびり出来るのが楽しい。

でもそれを伝えるのは恥ずかしくて、あはは、と誤魔化すと、不機嫌を隠さない快斗くんが繋いだ手をぐいっと引っ張ってきた。

そのままおでこにキスをされる。

思わず固まると、快斗くんはぽんぽんと私の頭を撫でて歩き出した。


「続きは家な」

「続き！？ていうかここ外…！」

「…Aが他の男の話するから」

「他の男って」


そう言うと、快斗くんがジトリと私を見た。

…どうやらヤキモチをやいてくれたようだ。


「早く帰ろーぜ」

「…うん」


もう一度しっかり手を繋ぎなおして、私達は帰り道を歩き出した。

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