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翌朝、教室で顔を合わせたセウンは普通だった。
昨日大丈夫だった?なんて聞けないぐらい、いつものセウンだった。
けれどもヨンジュンは対照的で。
「体調悪いなら帰れば?」という0か100のセウンに、歯切れ悪く答えるヨンジュンはずっと上の空。
それでも然して気にならなかったのは、私は私で放課後へ向けて浮足立っていたから。
だから、今この状況がいまいち理解できていない。
放課後、閉鎖された屋上の扉、踊り場、俯いて立つヨンジュン。
と、背筋を伸ばしたセウン。
「ごめん、もう一回言って…」
間違いなく私が聞き違えただけだから、再度要求する。
「だから、」とはっきりと口を開いたセウンがもう一度繰り返した。
「私たち、付き合うことになった」
最初に耳が認識した事実は誤報ではなかった。
三人しかいないこの場で、"私たち"が指すのは。
セウンから交際を申し込まれた覚えはないから。
ヨンジュンの「待っててほしい」は、こういう事だったの?
視線をずらしても頭頂部しか見えない。
何も言えなかった。建前の祝福も本音の疑問も、何も。
沈黙に痺れを切らしたセウンが口を開く。
「わかってたよ、Aを困らせること。でもそんなこと気にしてたら、私は好きな人と一生結ばれない」
好きな人、セウンははっきりそう言った。
セウンはヨンジュンのことが好き。気づかなかった。
相変わらず何も言えない私は、提出された現実を考え込んでいるようで何も考えていない。
考えられない。無理だ。離れたい。逃げたい。
「帰るね」
掠れた声でそう伝えて、視線を落としたまま階段を駆け降りた。
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am(プロフ) - ノアさん» ノア様 嬉しいお言葉をありがとうございます。丁度構想を練っている時分にコメント通知を受け取ったので、創作意欲が湧きました♡これからも涙腺を刺激するようなテヒョン君を書けるよう頑張ります⋆⸜ ⚘ ⸝⋆ (2021年10月8日 23時) (レス) @page48 id: ee43218214 (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - 文章が天才的すぎます!!泣 テヒョンペンなので今泣きながら見てます笑 更新楽しみにしてます!!^^* (2021年10月8日 21時) (レス) @page46 id: f00cf6f10c (このIDを非表示/違反報告)
am(プロフ) - ミミさん» ミミ様 早速のレスポンスありがとうございます!晴天の霹靂と言ったところでしょうか。ヨンジュン、最近黙ってばかりだなぁと心配しながら執筆しております🥲 (2021年9月28日 3時) (レス) id: ee43218214 (このIDを非表示/違反報告)
ミミ(プロフ) - am様、二度目のメッセージを投稿します。今ほど更新された話を読んだところですが、いやぁ、こうきたか!って感じです。主人公ちゃんに気持ちを寄せてしまっています。主人公ちゃんが頭の良さが文章の描写から伝わってきますね。ああ、続きどうなるんだろう。 (2021年9月27日 16時) (レス) id: 877c5b508b (このIDを非表示/違反報告)
am(プロフ) - aaaoooさん» aaaooo様 素敵なお言葉をありがとうございます。伝えたい🐿さんが届いているようで嬉しいです!もっと読みたい、そう思ってもらえる作品を綴っていくのでよろしくお願い致します♡ (2021年9月27日 16時) (レス) id: ee43218214 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:am | 作成日時:2021年8月22日 14時