24."大切"の違い(Shirabu side) ページ26
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Shirabu side
今日は卒業式
結局Aには1度も会ってはいない
そして俺の期待も虚しく、今日も学校には来ていないようだった
式中、式後も虚無感が消えないままぼーっとし続け、クラスメイト達の話も右から左へ聞き流した
数人の女子にも話しかけられ、少し話をしたいと言われたが、顔も知らない相手だったため「急いでいるから」と断った
.
数日後の合格発表、俺は無事白鳥沢学園に合格し、それからは空いた時間をバレーに注ぎ込んだ。大会で見た白鳥沢学園中等部の彼と、同じコートに立つためだ
そうして家の庭でバレーをしていた春休みのある日
「賢二郎、お客さんよ」
母さんの俺を呼ぶ声が聞こえ、オーバーパスをしていた手を止める
俺にお客さんなんて珍しくて、少し身構えながらも玄関へと向かった
そこには、白銀の短い髪に青色の綺麗な目をした少女が立っていて
『…え、』
A「…賢二郎、久しぶり、だね」
ずっと聞きたかった、女子にしては少し低めのその声に、目頭が熱くなるのを必死に堪えた
.
A「賢二郎、背、伸びたね。
叔母さんから聞いたよ、合格おめでとう、白鳥沢なんて、賢二郎はやっぱり頭いいね、」
『まあ、お前よりはでかいな
…ずっと学年1位だったお前に言われても嫌味にしか聞こえねーよ』
久しぶりに会うというのに、俺たちはそんな他愛のない会話ばかりをした
聞きたいことは沢山あったが、聞いてしまえばAが傷ついてしまいそうで、また遠くへ行ってしまうような気がして怖かった
A「ねえ、賢二郎
…私ね、東京に行くの」
でも、そんな言葉を聞いた俺は、頭が真っ白になって
気づけば、Aを強く抱きしめていた
『…っ、なんで、なんでだよ
俺にはAが必要だ、…大切なんだ、
どこにも行くなよ、』
A「…賢二郎、
ありがとう、私も賢二郎が大切だよ
でも、大切だからこそ、離れなきゃいけない
絶対、帰ってくるから」
Aは優しく俺を抱き締め返して背中を撫でた。我慢していた涙が一気に流れた
Aにとっての"大切"と、俺にとっての"大切"が違うのは分かっている。それでも、大切と言って貰えた事が嬉しかった
Aは俺に連絡先を渡し、去り際にもう一度俺を抱きしめて、「行ってきます」と呟く
『…早く帰ってこい、馬鹿。』
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@ゑの(プロフ) - 秋蛍さん» ご指摘ありがとうございます!!ああああなんという事を申し訳ございませんんん(;ω;)作者全く気づいておりませんでした、尾長くんですすみませんんん、 (2021年3月3日 19時) (レス) id: c4dd513e8f (このIDを非表示/違反報告)
秋蛍(プロフ) - あの…突然のコメントですみません!34話の長尾くんって人は尾長くんではないでしょうか?オリキャラならすみません! (2021年2月27日 9時) (レス) id: 29e99f8be9 (このIDを非表示/違反報告)
@ゑの(プロフ) - ドクさん» コメントありがとうございます!!ふへへ産みの親になれて光栄です(?)!!これからもどうぞすこでいてくださいよろしくおねがいします(´;ω;`) (2021年2月26日 19時) (レス) id: c4dd513e8f (このIDを非表示/違反報告)
ドク(プロフ) - スコティッシュフォールディングダイブっす…無理すこ…産んでくれてありがとうございます (2021年2月26日 8時) (レス) id: f0778d3186 (このIDを非表示/違反報告)
@ゑの(プロフ) - おみゅらいちゅさん» コメントありがとうございます!!ふあああ嬉しすぎますありがとうございます!これからもがんばりますよろしくお願いします!! (2021年1月25日 20時) (レス) id: c4dd513e8f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:@ゑの | 作成日時:2021年1月3日 22時