【HQ!!】地味なあの子は隠し事をしている。

19.もう一度(Shirabu side) ページ21

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Shirabu side









Aは、家族が亡くなってから表情が乏しくなった




以前は笑顔が多く表情も豊かだったが、今では笑顔が減り表情のバリエーションも口数も減った




綺麗な髪を短く切って黒染めした時は驚いた。あの髪も目も、俺は大好きだったから




それでも俺にアイツを止める権利はないことは分かっていたから、大したことは言えない






元々整った顔立ちをしていたAは中学では当然のようにモテて、登下校を共にしている俺はよくAのことを聞かれたりしたが、苛立ちを顔に出せばすぐその事もなくなった




Aは何においても本当に優秀で、勉強も運動もできてその容姿なのだから、すぐに高嶺の花のような存在になって、注目の的だった





充実した生活を送っているAを見るのは、嫌いじゃなかった








12月のある日、家に帰ると母さんからAが階段から突き落とされた事を聞かされた






すぐにAが入院している病院へと向かったが、面会拒否と言われて追い返されてしまう





自分の無力さを悔いた。Aが嫌がらせを受けている事は薄々気づいていたが、自分で言ってくれるまでは何も聞かない方がいいと思っていた




Aが家族を失った日、俺はコイツを絶対に守ると決めた。なのになんだ、何一つできてはいないじゃないか









『…っ、くそっ……』








苛立ちから拳を強く握れば、爪がくい込んだのか手のひらに血が滲んだ







その事件から、Aの顔から笑顔が消えた



いつもぼーっとしているような表情で、口数も更に減り、俺と登下校する事を拒んだ









そして俺らが2年生になった後、Aは学校に来なくなった。


担任に聞くと、テストは別室で受けること、長期休み中に学校にくることを教えられたが俺の知りたかったのはそういうことじゃない






なんで、何も言ってくれないんだよ
なんで頼らないんだよ








そんな思いでいっぱいだった





またお前の笑顔が見たい、
また一緒にバレーをしたい、
また一緒に音楽を聞きたい、




そんな俺の気持ちは募るばかりで、それでも自分からは何も出来なかった





Aがいない日々は、まるで世界から色が消えたようで




自分で思っていた以上に、俺にはお前が必要で、大切だと言うことを実感したが、




その事に気づくにはあまりに遅かった




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