十一話 ページ11
一方、武装探偵社からはパーティー会場の警備に、中島敦、泉鏡花、国木田独歩、太宰治が駆り出されていた。
「ねえねえ国木田くん、」
「何だ」
「あのシャンデリアいいよね、人一人くらい潰せそうだ」
「……またお前はぁ〜!!」
そんな話をしている間に、目の前を血相を変えた少年が全速力で通過……するところだったのだが、警備としては少し注意するところだった。
国木田が少年の首根っこを掴む。
「うわっ!」
「会場内を走るなよ。」
長身で威圧感のある国木田にこう注意されると、これくらいの子供はかなり堪えるが、少年は苦笑しながら謝罪した。その手には無残に破かれた手のひらサイズのウサギの人形が握られている。
「君、急いでたけど何かあったの?」
敦が人の良い笑みを浮かべて話しかけるが、少年はまた苦笑して一目散に走って行ってしまった。
「……かなり焦っていた」
鏡花は鋭い眼光を床に落ちた綿に向けた。
・
「これは気付かれてるわねぇ」
ベルモットと別行動を始めたAは、盗聴が途切れ続けている耳の通信機を、髪の毛をかき分けて指先でたたいた。
『おそらく、どちらかが・・・
『なっ』
パーティーが開かれたホテルの廊下を出ながら、最後に聞こえた会話を思い出した。
『おい、そのぬいぐるみ誰のだ!!』
『Aお姉さんに貰ったの!』
『!!貸せっ』
茶髪の少女・・・・・・灰原哀の反応が気になって盗聴したはいいが、気付かれてしまった。
その背後に、影一つ。
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