三 望み? ページ3
「は」
フリーズした。思考も体も。私が、前の命と引き換えに、知らない場所での、小さくなった、高級マンション生活を、選んだ?
「どうして?」
「これ以上話すことは許されておりません」
そう言ってメイド山田はメイドルームとかかれた狭そうなところに入っていった。
残された私は、ただ呆然として机の上の真っ赤なランドセルと5年生の教材を見つめるしか無かった。
*
翌日。山田さんは私に軽い朝食を用意して待っていた。
リビングの横の自室から出て、洗面所で身仕度をして目玉焼きに醤油をかける。
「いただきます」
先程つくりあげたポニーテールがさらりと揺れた。
「西原Aです。よろしく」
五年生って中途半端だよね。あーあ、どうして私がこんなこと。本当にどうして。
この生活を選んだ私は血迷っていたんだろう。きっと。
「よろしくね、西原さん」
「よろしく」
ルックスには自信があった。この教室内で1番かわいいのは私、なんて自信が沸いてくる程に。
隣の人は中々の美青年だ。何だか見たことある気がする。前に小学校で同級生だった黒谷君にそっくりだ。
「Aちゃんって呼んでいい?」
休み時間に話しかけてきた派手目な女の子。なるほど。リーダーか。女子ボスが存在するクラスは面倒だ。そう感じる。
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