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「っ、くっそ、また……！」
後ろで、悔しげに吐き捨てる声が聞こえてくる。それを聞きながら、Aはただ帰路を歩いていく。
ゆっくりと、ゆっくりと。なのに、ロボロはそれを見つけられないのだ。
「なぁ、女将さん、今、おったやろ？ A、おったやんな？ ここ、なぁ？」
「あ、あぁ……そっちに歩いてっただろう？」
「な、んでなん……くそ、くそっ！」
『……』
ここ数日で、どれだけ《意識阻害》の石を使っただろう。
砕いた石の数は、そのままロボロがAに会いに来た数だ。そして、Aが彼を拒絶した数だ。
彼の顔にかかる布に使われた石を、まさかこんな用途で使うようになるとは。
例えすぐ横を通り過ぎようとも、ロボロはAを見つけることはない。今みたいに。
魔石を砕きすぎてひりひりと痛む指先を、意味もなく擦り合わせながら。
Aは彼を置いて、その場を去っていった。
――――……
――……
「A、あんた……一体、どうしちゃったのよ」
ついに見かねて、アリサとハンナはAに詰め寄った。
『別に、どうもしないよ。ただの、ケンカみたいなもん』
「……今日も来たよ。本当に会わなくていいの？」
『……』
「見てられないわよ。ただの喧嘩で、そんな弱らないでしょう」
『大丈夫、大丈夫だから』
「A……」
いくら事情を聞き出そうとしても、Aは"大丈夫"の一辺倒だった。
ロボロはAに会わせろと死にそうな顔で連日訪ねてくるし、AはAで、今にも倒れそうなくらいに思い詰めている。
今は彼女の願い通りロボロを追い返してはいるが、はたしてそれが正解なのかは二人にも分からなかった。
どうしたものか、と顔を見合わせて、双子は深く溜め息を吐くのである。
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江之子(プロフ) - みかんさん» コメントありがとうございます。頑張ります！これからもお楽しみください。 (2020年7月13日 16時) (
レス) id: f8221d30c6 (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - 藻塩。さん» コメントありがとうございます。気に入ってもらえる展開でしたか！作者も好きです、書くときちょっと辛くなりましたが…(笑) (2020年7月13日 16時) (レス) id: f8221d30c6 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - コメント失礼致します。とても面白く読ませて頂いています。これからも更新頑張って下さい。 (2020年7月12日 19時) (レス) id: 8cc228e6cc (このIDを非表示/違反報告)
藻塩。(プロフ) - 江之子さん» コメ失礼します、すんごく展開が好きです…！これからも無理しないように頑張ってください！ (2020年7月12日 14時) (レス) id: 7b5f2afcc4 (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - 菜の葉さん» コメントありがとうございます。登場人物たちに感情移入してもらえるとは、この上ない褒め言葉です…！頑張ります。 (2020年7月11日 0時) (レス) id: f8221d30c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：江之子
| 作成日時：2020年4月20日 23時
