31#突然の対談 ページ37
.
ちょうど客が途絶えたいいタイミングで、メンバーの一人が店のチャイムを鳴らした。
聞けば、アリサが自分を呼んでいるという。こうして営業日にわざわざ呼ぶのは驚くほどのことではないが、それでも明日でいいような用で呼び出しを受けたことはない。
断る理由もないので、ひとまず店は閉めてギルドに向かうことにした。
呼びに来たメンバーが仲の良い子だということと、話を聞く限り緊迫した悪いニュースという感じもしないので、笑い話も交えながら呑気に歩いて行った。
ホームに着くなり、アリサの部屋に居るということで階段を上がる。二階のさらに奥まったところにあるアリサの部屋は、当然ギルドマスターの部屋ということだ。
一階のラウンジの賑わいとは一線を画した、そのドアをノックする。
特に返事を聞かずともドアノブを捻るのが、常だった。
『おはよー。どうしたの、何かあっ――』
ドアを開けてそこにいた人物に、Aは思わず言葉を途切れさせる。
『――グルッペン、さん？ それにトントンさんも』
「やぁ、Aさん。この間ぶりだな」
「……どうも、お邪魔しとります」
『どうしてお二人がここに……』
ガラス張りのテーブルを挟んで向かい合うようにソファに腰かける、うちのマスターサブマスターと、"我々だ！"の二人。
驚き、困惑したAだったが、とりあえず取り乱すのも違うと思ったので、壁際に寄せてあった簡素な椅子を持ってきてアリサたちの傍らに座った。
途中、こんな客が来てるんだったら誰か先に教えてよ、と胸中で文句を垂れながら。
『えぇっと、それで……？』
とAが、僅かばかり機嫌が悪いのが見てとれるアリサに助けを求めると。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 84人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：江之子
| 作成日時：2020年3月25日 23時
