20#最初の道 ページ3
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本日の舞台に選ばれたのは、先日も訪れたグィズの森――ではなく、そのもう少し手前にある、"
その名の通り、というよりかは湖といっても差し支えないような大きな泉を中心に、その周りを数えきれない木々が囲っている。
グィズの森ほどではないが、子供からしたら冒険といって期待を外さないくらいの、うってつけのスポットなのである。
Aの与えたミッションは、「中心の泉に到達し、その周囲にある魔石を回収する」こと。
"天満の泉"は主に月光をとりこみ仄かに光る不思議な泉であり、その周りに魔石が自然発生しやすい場所でもあった。
『職業柄、魔石の採れやすい場所は足繁く通うもんで』
Aがそう言えば、ロボロもなるほどと頷く。
"天満の泉"は比較的安全な場所であるといえるが、それでも魔物がゼロかと問われれば、それは絶対にない。
周囲を注意深く見渡しながら、先を行く子供たちの背中を追いかける。
彼らは、木々の太い根っこが織りなす地面の悪さに足を取られながら、楽しそうに目的地へ向かっていた。
「そういえば、俺も魔石使わしてもらいました。かなり上質っすよね、Aさんの調石」
『んは、どうも。魔石に関してはちょびっと自信がありますので、お任せください』
「うちで調石やってる奴もびっくりしてましたよ。こんなん出来るの、普通じゃないって」
『えぇ？ それは大袈裟でしょー』
どうやらかなり腕を買ってくれているようだが、A自身にはそこまでの自覚はない。
褒められるのが嬉しくない訳ではないが、首を傾げたい気持ちのほうが大きかった。
「A先生、ロボロ先生」
とそこで、前方の小さき冒険者から声が上がる。
「ここ、ツタが絡まってて上手く進めない！」
見てみると、おや。木と木の間の人が通れそうなその隙間を、立派なツタが何重にも塞いでいる。
一目見るだけでも、素手で引きちぎれそうなものではなかった。
こちらを見やるロボロに頷いて、Aは言った。
『ちょうどいい試験だね。これを、魔法で解決するのよ』
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作者名：江之子
| 作成日時：2020年3月25日 23時
