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『しぶといですね。でも、確実に弱ってます』
頷き、構えた二人。
やるなら、枝を全て封じてからか。頭の中で流れを組み立てて、Aは魔法を放つ。
思惑通り枝二本を《闇》魔法で縛りあげる。やはり養分を集中させた枝は力強くて、振り払われそうなのを必死で踏ん張った。
駄目だ。これでは、あとの二本は私では対処できない。
完全な実力不足を痛感し、ロボロを振り仰ぐ。彼の方も、《光》魔法で同じように枝を封じていた。
「これで終わりや！」
枝を封じてなお、根をクロスボウで狙う彼に感嘆したのも束の間、根は地面へと潜りこんだ。
ちぃっ、と盛大な舌打ちが聞こえる。根が地面を勢いよく進み、狙ったのは。
『っ、させない！』
地の波は、真っ直ぐに子供たちへと。
それが結界に到達する直前で、《火》の壁が立ち塞がった。
「あかんっ、Aさん！」
反動で緩んだ拘束から、一本の枝が抜け出してAを狙う。
かろうじて《強化》が残っていたAの脇腹を薙ぎ、ダメージは軽減されるもAの身体は地面に叩きつけられた。
「先生ぇっ！！」
子供たちの悲鳴が上がる。
倒れた拍子に、Aの持っていた魔石がいくつか、地面に散らばった。
――ギエェェッ
起き上がる暇もなく、枝が襲いかかってくるのが分かる。
Aが魔法を発動させるのと、鞭がしなるのとどちらが先か。あるいは、あと一撃ぐらいなら耐えられるだろうか。
覚悟して、歯を噛み締めたA。
しかし、覚悟した衝撃が来ることはなかった。
――バチィィン……
『――え』
Aが睨み付けたその一寸先、重い一撃は、見えない壁に阻まれた。
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作者名：江之子
| 作成日時：2020年3月25日 23時
