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『そうだ。渡したいものあるんだった』
「っ、ひひ、んぐ……ん、俺に？」
いつまで笑ってんだという文句は呑み込んで、Aはリュックからある革袋を取り出した。
そう、ご存知の通りあの"力作"である。
『はいこれ』
「あ、何や」
『何って……"友好の印"じゃん。そっちが頼んだんでしょ』
「は？ え、もう出来たん？」
信じられない、といったように革袋を奪い取り、中身を覗き込んだ彼。
やがて、うお、と短く感嘆の声を上げた。
彼が袋から摘み上げたのは、昨日獲得した《熱膨張》の魔石。違うのは、その大きさだ。
『《熱膨張》は元々の性質が爆発的なものだから、小さくても十分なんだ。それに昨日見た感じ、あなたの戦い方だとあんまり派手な魔法は使わないんじゃないかって』
「……」
『元の質も良いし、使い易さを考えて小分けにしたんだけど……もしかして、まずかった？』
元の魔石は手のひらにずっしりと重みを感じるサイズだったのだが、それだと威力がとんでもないことになりそうだったし、何よりただの一発で消費してしまう。
それよりは、と思ってしがない調石師の観点から独断で行った処置だったのだが。もしや、ありがた迷惑だったか。
「……ぇ」
『えーっと……あれだったら、元の大きさに戻してくるけ――』
「すげぇ！ これホンマにあんたがやったん！？ 一日で！？」
『――え？ あぁ、まぁそうですけど』
「めっちゃええやん！ 自分すごいなぁ」
『……どうも』
摘まんだ魔石の一つをライトの光に透かして眺め、ゾムは目を輝かせてはしゃいだ。
唐突に現れた彼の無邪気な表情に困惑するも、そう手放しで褒められれば嬉しくないはずがない。
口では淡白に返しつつ、Aはふふ、と緩む頬を抑えられなかった。
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江之子(プロフ) - チトセさん» コメントありがとうございます。私も、いつまで経っても魔法の世界が好きなんですよねぇ。是非とも一緒に楽しんでください！ (2020年4月2日 23時) (
レス) id: 7dbb78881f (このIDを非表示/違反報告)
チトセ(プロフ) - もちろん待ってました！この設定が好きだったので、更新ない間もこの世界を歩くことを妄想したり…。帰ってきて嬉しいです！ (2020年4月1日 11時) (レス) id: e1c495790d (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - さよさん» コメントありがとうございます。何度もとは嬉しい…。期待に沿えるよう精進します！ (2020年3月25日 22時) (レス) id: 7dbb78881f (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - 。。。さん» コメントありがとうございます。旧作から来ていただけたようで、何年もお待たせして恐縮ですが、また気長にお付き合いください！ (2020年3月25日 22時) (レス) id: 7dbb78881f (このIDを非表示/違反報告)
さよ(プロフ) - 旧作何度も読み返すくらい好きだったので、新設を作ってくださってとても嬉しいです…！！これからの更新とても楽しみにしています。 (2020年3月25日 11時) (レス) id: 6370bc6004 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：江之子
| 作成日時：2020年3月24日 21時
