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名を呼ばれて見上げれば、思ったより近くにゾムがいた。
『あ、ゾムさん。昨日ぶり』
「よう」
ゾムはまたも軽く手を上げて、ゾムでええよ、と気さくに言いながらAの隣にどっかりと腰かけた。
余所の敷地で随分無遠慮な態度だが、その職業柄、冒険者には割とサバサバしたというか、こういったある意味さっぱりした性分の人間が多い。
そのためAも大して気にかけず、ついでに名を呼び捨てにするのもそう抵抗はなかった。
『じゃあゾム……そういや、私名乗ったっけ』
「いや、昨日お仲間がそう呼んでたなぁ思て。合っとった？」
『うん』
特に盛り上がることのない他愛ない言葉を交わしながら、ゾムはフードを外して前髪をかき上げた。
ちらりとその様子を盗み見る。あら、意外と二枚目。
絶世のとまではいかないが、少なくとも世の女性のために隠すのは勿体ないと思うくらいには。
彼はそうして背を凭れさせたままで、何ともない風に戦況を眺めていた。
『……参加しないの？』
「んあ？」
『だって、何ていうか……こういうの好きそうな感じするから？』
昨日今日で彼を分かった気になるつもりは毛頭ないが、あくまでも自分が抱いたイメージでそう言ってみる。
言っている途中で、気に障るか、と心配になって疑問形となったAに、しかしゾムはへらりと笑って答えた。
「まぁ間違っちゃないな」
『……あ、そう。じゃあなんで』
「何やねん、せっかく話しかけに来たのに。自分、俺にさっさとどっか行け言うんか？」
『えっ、違う！ そうじゃないっ、ごめん、ありがとう！』
ジロ、と胡乱げに睨まれて、Aは慌てて首を横に振った。ついぞ礼まで口から滑り出る。
それを受けたゾムは一瞬驚いたように目を見開いたのち、くしゃりと破顔した。
「く、ははっ。あんた、おもろい奴やなぁ！」
『……。はぁ、そりゃどうも』
褒められている訳ではないとは分かったけれど、Aは一応素直に受け取っておく。
何がそんなに可笑しいのか、喉を鳴らして笑うゾム。なかなかに個性的な笑い方をする男である。
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江之子(プロフ) - チトセさん» コメントありがとうございます。私も、いつまで経っても魔法の世界が好きなんですよねぇ。是非とも一緒に楽しんでください！ (2020年4月2日 23時) (
レス) id: 7dbb78881f (このIDを非表示/違反報告)
チトセ(プロフ) - もちろん待ってました！この設定が好きだったので、更新ない間もこの世界を歩くことを妄想したり…。帰ってきて嬉しいです！ (2020年4月1日 11時) (レス) id: e1c495790d (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - さよさん» コメントありがとうございます。何度もとは嬉しい…。期待に沿えるよう精進します！ (2020年3月25日 22時) (レス) id: 7dbb78881f (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - 。。。さん» コメントありがとうございます。旧作から来ていただけたようで、何年もお待たせして恐縮ですが、また気長にお付き合いください！ (2020年3月25日 22時) (レス) id: 7dbb78881f (このIDを非表示/違反報告)
さよ(プロフ) - 旧作何度も読み返すくらい好きだったので、新設を作ってくださってとても嬉しいです…！！これからの更新とても楽しみにしています。 (2020年3月25日 11時) (レス) id: 6370bc6004 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：江之子
| 作成日時：2020年3月24日 21時
