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『ゾムさん』
「ん？」
『えーっと、その魔石でマグマを作るつもり？』
「せやで。良質な魔石使えば、いくらか簡単に作れるやろ」
『そ、それはダメ』
「は？」
唐突なダメ宣言に、ゾムは当然訝しげな顔をする。
「……そんなこと言って、これを奪おうったってそうは――」
『いや、そうじゃなくて！』
「――じゃあ、なんやねん」
意味が分からん、といった風に眉をしかめるゾムに、Aは言った。
『それ、《熱》じゃないし。……《熱膨張》だから』
「……は？」
思ってもみなかった答えに目を瞠るゾム。
何も言わずこちらを見つめているのをいいことに、Aは丁寧に説明を始めた。
『ゾムさんが持ってるそれ、《熱膨張》っていう魔性で……何て言うのかな、《熱》の上位互換みたいなもの。確かに珍しいし良質だけど、それでマグマは作れないよ』
アドウィルトンの群れのボスは、見た目からして周りとは一線を画していた。
確かに今思えば体格だって桁違いだったし、鬣の生え方も他とは違った気がする。
それは何もかなり良質な《熱》魔石から生まれたアドウィルトンだった訳ではなく、初めから違う属性の魔石から生まれた、違う魔物だったのだ。
《熱膨張》は先述の通り《熱》の上位互換。
指定したものの熱を上昇させる効果を持つ《熱》属性の効果を、爆発的に得ることが可能な魔性である。
その類似性により、アドウィルトンと似通った姿で生まれたのだろう。
「つまり……どういうことや？」
『《熱膨張》じゃ威力が強すぎて、マグマを作るための調節が無理なの。例えばこんな森の中で使えば一瞬で爆発、森は大火事で手に負えないかもね』
「……ふーん」
ゾムはその説明を聞いて、己の握る橙色の魔石をまじまじと見つめた。
そしてもう一度、Aへと視線を戻す。
「で、あんたは何で、そんなこと分かるん？」
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江之子(プロフ) - チトセさん» コメントありがとうございます。私も、いつまで経っても魔法の世界が好きなんですよねぇ。是非とも一緒に楽しんでください！ (2020年4月2日 23時) (
レス) id: 7dbb78881f (このIDを非表示/違反報告)
チトセ(プロフ) - もちろん待ってました！この設定が好きだったので、更新ない間もこの世界を歩くことを妄想したり…。帰ってきて嬉しいです！ (2020年4月1日 11時) (レス) id: e1c495790d (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - さよさん» コメントありがとうございます。何度もとは嬉しい…。期待に沿えるよう精進します！ (2020年3月25日 22時) (レス) id: 7dbb78881f (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - 。。。さん» コメントありがとうございます。旧作から来ていただけたようで、何年もお待たせして恐縮ですが、また気長にお付き合いください！ (2020年3月25日 22時) (レス) id: 7dbb78881f (このIDを非表示/違反報告)
さよ(プロフ) - 旧作何度も読み返すくらい好きだったので、新設を作ってくださってとても嬉しいです…！！これからの更新とても楽しみにしています。 (2020年3月25日 11時) (レス) id: 6370bc6004 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：江之子
| 作成日時：2020年3月24日 21時
