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「A、どうする？」
『どうもこうも、こっちはこっちでやるしか……』
あちらだって譲るつもりはないだろう。
同じ場所で粘っても手柄の取り合いになるだけだ。いっそこちらが場所を移すか――
「何なら助け合いでもするか？」
「はっ、ゾムが助け合いとか似合わん！」
「うるさい、大体シッマが全部依頼主に渡してまうからこうなったんやぞ」
「しゃーないやろ？ あのおっさんガメツイねん」
あぁ分かった、分かったから。
いくら小声と言えど、余計な会話は森の中では目立つ。
『じゃ、私たちは別のとこ探すんで』
「あ、そ？ すまんなぁ」
仕方なし、と"フィリアス"側はAに従ってその場を離れようとする。
これは余談だが、いつも純真無垢な笑顔を浮かべているサンドラが実は人見知りで、今もむすりと口をつぐんで喋ろうとしない。
共闘などもってのほかだった。
対するゾムはやっぱり言葉とは裏腹で、おそらく初めからA達を追い払うつもりだったのだろう。
食えない男だ、とAが彼らから視線を外そうとしたときだった。
『……！』
彼らの後方に、鮮やかな"赤"が見えた。
すでに歩き始めていた"フィリアス"メンバーと、それを見送る"我々だ！"メンバー。つまりA以外の全員が"それ"に気付いてはいない。
"それ"が発光した尻尾を振るうのと、彼女が腰にぶら下げた"得物"に手をかけるのはほぼ同時だった。
彼女専用の"得物"――それは、片手で握れるほどの、輪っか状の金属。それには、一律の大きさに揃えられた色とりどりの魔石がいくつも嵌め込まれている。
Aはそれを、思い切り振り上げた。光ったのは、青色の魔石。
《熱》の鞭と、《水》の壁が衝突するまでは一瞬。
《熱》の鞭は想像以上に威力が強く、Aが咄嗟に作り上げただけの薄い壁では勢いが収まらない。
逆に壁のほうが蒸発してしまい、すぐに第二の壁を出そうとするも。
――っ、間に合わな――！
「っと……あぶねー」
『あ……』
それが誰かに傷を与えることはなかった。
ナイフの刃に炎を纏わせたゾムが、《熱》の鞭を跳ね返したのだ。
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江之子(プロフ) - チトセさん» コメントありがとうございます。私も、いつまで経っても魔法の世界が好きなんですよねぇ。是非とも一緒に楽しんでください！ (2020年4月2日 23時) (
レス) id: 7dbb78881f (このIDを非表示/違反報告)
チトセ(プロフ) - もちろん待ってました！この設定が好きだったので、更新ない間もこの世界を歩くことを妄想したり…。帰ってきて嬉しいです！ (2020年4月1日 11時) (レス) id: e1c495790d (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - さよさん» コメントありがとうございます。何度もとは嬉しい…。期待に沿えるよう精進します！ (2020年3月25日 22時) (レス) id: 7dbb78881f (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - 。。。さん» コメントありがとうございます。旧作から来ていただけたようで、何年もお待たせして恐縮ですが、また気長にお付き合いください！ (2020年3月25日 22時) (レス) id: 7dbb78881f (このIDを非表示/違反報告)
さよ(プロフ) - 旧作何度も読み返すくらい好きだったので、新設を作ってくださってとても嬉しいです…！！これからの更新とても楽しみにしています。 (2020年3月25日 11時) (レス) id: 6370bc6004 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：江之子
| 作成日時：2020年3月24日 21時
