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――ガリッ
「――え」
何かを砕く音が小さく耳に届き、アリサは間抜けにも声を洩らす。
しかし次の瞬間にはもう、彼女の上半身は机に叩きつけられ、右腕は背中のほうに捻り上げられていた。
「いっ、いだいいだいいだいいだい！！ ちょ、やめてハンナ、あんたのはあたしに効果抜群だからっ！」
「性懲りもなく……少しは反省して」
「反省！ した！ 超した！！」
ギブギブ、と喚くアリサを冷たく見下ろして、彼女――ハンナはようやっとアリサを解放する。
腕をさすりながら身を起こすアリサの目には、効果抜群という言葉に違わず涙が滲んでいた。
「全く、なんであたしに《闇》使うのよ反則でしょ！？」
「そう思うならもっと言動に責任もって」
「大体ねぇ、あんたはお仕置きがいちいち全力過ぎるのよ！」
「お仕置きだって自覚があるなら、どうして態度を改められないの」
「はぁ！？ なんです――」
『――はいはーい。そこまでー』
ますますヒートアップしそうになった言い合いにストップをかけたのは、妙に間延びした声だった。
その声が落ちた瞬間、それまで二人の言い合いを見守るしかなかったメンバーの表情にほっと安堵が灯る。
「「A！」」
「必死な顔で私を呼びに来るもんだから何かと思えば……二人とも、姉妹ゲンカも程々にしなよ」
ちょうど近くまで来てたから良かったものの……。
そうごちる彼女の後ろでは、若干息の上がったメンバーの一人が安堵の溜め息をついていた。
「だってハンナがっ！」
「違う、アリサ姉さんが」
『もう、どっちもどっち！ ほら、新人さん困ってるじゃん』
「「へ？」」
一言で二人を黙らせ、Aは傍らで縮こまる人影を指し示す。
アリサとハンナ、二人揃ってそちらに顔を向け、そしてほぼ同時にあちゃあ、と顔をしかめた。
その動作が完璧と言っていいほどにシンクロしていて、流石双子、と思わざるを得ない一同。
はたしてそこに縮こまっていた人影。
Aが"新人さん"といった小柄な女性は、鞄を胸に掻き抱き、不自然に吊り上げた口角をヒクヒクと引きつらせていた。
あろうことか初めのアリサの怒号からついぞ今まで、ずっとそこに立ち尽くして動けないでいたのである。
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江之子(プロフ) - チトセさん» コメントありがとうございます。私も、いつまで経っても魔法の世界が好きなんですよねぇ。是非とも一緒に楽しんでください！ (2020年4月2日 23時) (
レス) id: 7dbb78881f (このIDを非表示/違反報告)
チトセ(プロフ) - もちろん待ってました！この設定が好きだったので、更新ない間もこの世界を歩くことを妄想したり…。帰ってきて嬉しいです！ (2020年4月1日 11時) (レス) id: e1c495790d (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - さよさん» コメントありがとうございます。何度もとは嬉しい…。期待に沿えるよう精進します！ (2020年3月25日 22時) (レス) id: 7dbb78881f (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - 。。。さん» コメントありがとうございます。旧作から来ていただけたようで、何年もお待たせして恐縮ですが、また気長にお付き合いください！ (2020年3月25日 22時) (レス) id: 7dbb78881f (このIDを非表示/違反報告)
さよ(プロフ) - 旧作何度も読み返すくらい好きだったので、新設を作ってくださってとても嬉しいです…！！これからの更新とても楽しみにしています。 (2020年3月25日 11時) (レス) id: 6370bc6004 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：江之子
| 作成日時：2020年3月24日 21時
