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大きな傷がある？ それとも顔に自信がないとか。
もしかすると、迂闊に顔を晒せないほど身分の高い方だったりして……！
「――さん？ ちょ、店員さん？ ……Aさん！」
『っ！？ は、はい、何でしょ――って痛い！』
「えっ、大丈夫っすか！？」
想像が大いに膨らみ現実から意識を離していたところに、突然声をかけられるのだからたまったもんじゃない。
ビックゥとあからさまに跳ねたAは、膝を思い切り机の角に打ち付けた。
『大丈夫です……それで、どうしました？』
「めっちゃ痛そうやったけど……これ、買っていきますわ！」
『あぁ、ありがとうございます』
案ずる言葉をかけながらカウンターに置かれたのは、いくつかの《光》の魔石だった。
『攻撃用……《光》が適性なんですか？』
「ん……まぁ、そんなとこです」
『……？』
《闇》と並んで特殊元素と呼ばれる《光》は、ランプなどの魔法具によく用いられる汎用的な魔性だ。
しかし特殊元素であるからにはこれを適性にもつ人間は決して多くはなく、一方で攻撃用――つまり実戦で使う魔石の売り上げは芳しくないのが現実だった。
だが、いない訳ではない。
世間話程度の軽い疑問だったのだが、思ったより曖昧に言葉を濁された感じがしたので、首を傾げる。
しかしまぁ、突っ込んで聞くほどの仲でもないし、言葉のあやか。
『お買い上げ、ありがとうございました』
「こちらこそ」
「また来ますねー」
『お待ちしてます』
この店にいる間、Aは"フィリアス"の話題は出さない。
そのため彼女が冒険者、しかも大御所"フィリアス"のメンバーだと知らない客も多くいるのだが、この二人もそうだった。
店を出て行く背中を見送ってから、一人になった店内にやっと一息つく。
今日の売り上げはなかなかだし、新しい客も獲得できた。上出来である。
そしてその新しい客。
顔を隠した不思議な彼だが、その理由自体はもう探るのはやめた。
……ただ一つだけ、一つだけ疑問がある。
彼がまたここに来て、魔石を買って、話題が尽きなくなって。
そうして仲良くなったときに、だ。いつの日かその疑問をぶつけてみよう。
『んんー、そろそろ店閉めるかぁ……』
――それ、前見えてるんですか、って。
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江之子(プロフ) - チトセさん» コメントありがとうございます。私も、いつまで経っても魔法の世界が好きなんですよねぇ。是非とも一緒に楽しんでください！ (2020年4月2日 23時) (
レス) id: 7dbb78881f (このIDを非表示/違反報告)
チトセ(プロフ) - もちろん待ってました！この設定が好きだったので、更新ない間もこの世界を歩くことを妄想したり…。帰ってきて嬉しいです！ (2020年4月1日 11時) (レス) id: e1c495790d (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - さよさん» コメントありがとうございます。何度もとは嬉しい…。期待に沿えるよう精進します！ (2020年3月25日 22時) (レス) id: 7dbb78881f (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - 。。。さん» コメントありがとうございます。旧作から来ていただけたようで、何年もお待たせして恐縮ですが、また気長にお付き合いください！ (2020年3月25日 22時) (レス) id: 7dbb78881f (このIDを非表示/違反報告)
さよ(プロフ) - 旧作何度も読み返すくらい好きだったので、新設を作ってくださってとても嬉しいです…！！これからの更新とても楽しみにしています。 (2020年3月25日 11時) (レス) id: 6370bc6004 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：江之子
| 作成日時：2020年3月24日 21時
