6#小柄なお客 ページ17
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『初めまして、Aです』
ロボロ、ロボロ……。
名乗られたからには名乗り返すべきか、と簡潔な自己紹介をしながら、Aはその名前を頭の中で反芻する。はて、どこかで聞いたような。
その引っ掛かりは、彼の胸にあるひとらんらんとお揃いのバッジによって解消された。
彼は、"我々だ！"の創設メンバーの一人だ。
曲がりなりにも同業者、ライバルギルドの中心メンバーくらいは把握している。彼と実際に会うのはこれが初めてだったが。
「そういや、俺も名前は知らなかったな。ついでに俺、ひとらんらんです」
『あぁ、ご丁寧にどうも』
単なる店主と客という関係上、わざわざ名乗り合うのは珍しい。
それはひとらんらんも例外ではなく、彼から直接名を聞いたのはこれが最初だった。当然すでに知っているのだが、Aは素知らぬ顔をして会話を繋ぐ。
『ロボロさんは、今日は何かお目当てのものでも？』
「んー、そやなぁ。特にこれといってないけど……」
「こいつ、俺の使う魔石の質がいいって気付いたらしくてさ。どこで手に入れてんのって言うから、連れて来たんだ」
『そうだったんですか。なんか、ありがとうございます』
「いいえー」
買い手が増えるなら大歓迎だ。
それに魔石屋というもの、提供する魔石の質を褒められるのは何よりも嬉しい。
『………』
――それにしても。
このロボロという男、小柄さをからかわれて怒るところなども含めて、人当たりの良い普通の人間だと分かるのだが。
ただ一点、普通とは違う部分があった。
『天……？』
本当に微かにそう呟いた声は、店内を物色する彼らに届くことはない。
ロボロの頭には白く細い紐が縛られており、顔の前に垂れる布と繋がっている。
"天"と達筆な字で刻まれたそれは彼の顔を覆い隠し、かろうじて口元の表情が見え隠れするくらいか。
マスクをずらして話してくれたひとらんらんとは違い、ロボロはその布を取ろうとはしない。
別にそれで不快にはなったりしないが、ひとらんらんもそれを咎めない辺り、何か特別な理由でもあるのかと勘繰ってしまう。
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江之子(プロフ) - チトセさん» コメントありがとうございます。私も、いつまで経っても魔法の世界が好きなんですよねぇ。是非とも一緒に楽しんでください！ (2020年4月2日 23時) (
レス) id: 7dbb78881f (このIDを非表示/違反報告)
チトセ(プロフ) - もちろん待ってました！この設定が好きだったので、更新ない間もこの世界を歩くことを妄想したり…。帰ってきて嬉しいです！ (2020年4月1日 11時) (レス) id: e1c495790d (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - さよさん» コメントありがとうございます。何度もとは嬉しい…。期待に沿えるよう精進します！ (2020年3月25日 22時) (レス) id: 7dbb78881f (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - 。。。さん» コメントありがとうございます。旧作から来ていただけたようで、何年もお待たせして恐縮ですが、また気長にお付き合いください！ (2020年3月25日 22時) (レス) id: 7dbb78881f (このIDを非表示/違反報告)
さよ(プロフ) - 旧作何度も読み返すくらい好きだったので、新設を作ってくださってとても嬉しいです…！！これからの更新とても楽しみにしています。 (2020年3月25日 11時) (レス) id: 6370bc6004 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：江之子
| 作成日時：2020年3月24日 21時
