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Aと初めて出会ったのは―――ソチで金メダルを獲った翌シーズンだった。
―――2015年 トロント
「行ってきます」
玄関で母親に声をかけて、俺はドアを開けた。
日本より平均気温がだいぶ低いトロントは、春でもまだ肌寒い。
ジャージのファスナーを襟元まで上げると、キャップをかぶり、マスクをする。今日は練習はオフだけど、体がなまらないようにマンションの周りを軽くランニングするつもりだった。
平日の昼間なら、あまり人目にもつかない。
エレベーターに乗り、一階へのボタンを押す。手にしていたタオルを首にかけて、俺は肩をほぐすように上下させた。
ウィーンという機械音が止まり、エレベーターは五階で扉を開ける。
乗り込んできたのは、春らしいピンクのニットにデニム姿の黒髪の若い女性。操作パネルの前に立っていた俺は、顔を見られないように壁のほうを向く。すれ違うときに、ふわりと石鹸の清潔な香りがした。
再び、ドアが閉まり、エレベーターは動き出す。
と、次の瞬間―――ガタン！ と、音を立てて、止まってしまった。
「……故障？」
背後に立つ女性が独り言のように呟く。少しぎこちない英語の発音だった。
「さぁ、停電かもしれませんね」
アジア人の多いマンションだし留学生かなと、想像しながら、俺は答える。
このマンションには自家発電が備わっていたはず。停電なら、すぐに動くだろうと待ってみるものの、エレベーターが動く気配はない。
「非常ボタン押してみますね」
べつに断る必要はないけれど、後ろの女性に一応声をかけてから、俺は黄色い非常ボタンを押した。
『――――――、……はい？』
「あの、エレベーターが急停止したんですが」
『かしこまりました、しばらくお待ちください』
向こう側でキーボードの操作音が聞こえた後、
『〇〇〇〇にある、マンションですね。すぐに向かいます』
と、男性の声が答えた。
「どのくらい時間かかりますか？」
『二十分位になるかと思います。申し訳ありませんが、そのままお待ちください』
二十分、マジか……。ツイてない。
俺はその場に座り、ジャージのポケットからipodとイヤホンを取り出すと、音楽を聴くことにする。しばらくして、奥に立っていた女性も床に座る気配がした。
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エミル(プロフ) - #Loveさん» #Loveさん、いつもコメントありがとうございます。羽生さん好きに貢献できて嬉しい〜(^o^)本当に励みになります！ちょこちょこ更新ですが、頑張ります！！ (2022年2月23日 16時) (
レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
#Love(プロフ) - またコメント失礼します。エミルさんのお話が好きすぎて毎日更新の通知が来ているか確認するくらいです笑 エミルさんが書く羽生くんがありありと想像できて、羽生くん好きに拍車がかかっています。これからも無理せず頑張ってください！！ (2022年2月23日 12時) (レス) @page16 id: bf26d2c99f (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - ゆきさん» ゆきさん、ご指摘ありがとうございます。名前、修正しました。 (2022年2月10日 17時) (レス) @page46 id: a72ef995e1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 名前の変更ができていない所がありますので、お手隙の際に訂正をお願い致します。 (2022年2月10日 16時) (レス) @page47 id: 7b86ca7caf (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - 璃子さん» 璃子さん、短編も読んでくださり、ありがとうございます！元気に明るい「気」、そうですよね。羽生さんも頑張っていると思って、私も前向きに生活します。 (2021年11月7日 20時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エミル | 作成日時：2021年9月11日 20時
