＊ ページ32
「……悪くなんてない。そういう純粋なところ、ゆづくんらしくて好きだよ」
いつの間にかそばにきていたAさんにふわっと抱きしめられて、
「……ありがと……」
俺も華奢な体に腕をまわした。
トクン、トクンと早鐘を打つのは、俺の心臓なのか、Aさんのなのか。少なくとも緊張しているのは俺だけじゃないって知れて、Aさんがたまらなく愛しい。
「Aさん」
「うん？」
「キスしていい？」
今度は、ちゃんと恋人としてのキス。
真っ赤に染まった頬とか、伏せた長い睫毛とか、Aさんのすべてを目に焼き付けながら……俺は、唇を重ねた。
お互いの想いが通じたキスに、やっとスタートラインに立った気持ちになる。
好きがどんどん溢れてきて、止まらない。
何度も角度を変えながら、お互いの舌を舐め合っていると、どうしようもなく身体の芯が熱くなってくる。
自分が心から熱くなれるのは、スケートだけだと思っていたのに。
「……ん、ゆづくん……っ」
キスをやめようとしない自分に、さすがにAさんがストップをかけた。
ガッついているとか、まして、恐怖心とか与えたくないので、おとなしく一旦は唇を解放する。
「私、間違ってた」
「？」
「ゆづくんを可愛い年下の男の子だと思って接していたこと」
上目づかいで睨んでくるAさんに、つい口角が上がる。
「それ、今からもっと思い知るから」
俺の台詞に目を瞠ったAさんの隙をついて、もう一度唇を攫う。
知ったばかりの恋は、初めて四回転ジャンプを跳んだ時の高揚感に似ていて。
腕の中の彼女がこの先自分にとってスケートと同じぐらいかけがえのない存在になることを、俺は甘いキスに酔いしれながら、予感していた。
(完)
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エミル(プロフ) - #Loveさん» #Loveさん、いつもコメントありがとうございます。羽生さん好きに貢献できて嬉しい〜(^o^)本当に励みになります！ちょこちょこ更新ですが、頑張ります！！ (2022年2月23日 16時) (
レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
#Love(プロフ) - またコメント失礼します。エミルさんのお話が好きすぎて毎日更新の通知が来ているか確認するくらいです笑 エミルさんが書く羽生くんがありありと想像できて、羽生くん好きに拍車がかかっています。これからも無理せず頑張ってください！！ (2022年2月23日 12時) (レス) @page16 id: bf26d2c99f (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - ゆきさん» ゆきさん、ご指摘ありがとうございます。名前、修正しました。 (2022年2月10日 17時) (レス) @page46 id: a72ef995e1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 名前の変更ができていない所がありますので、お手隙の際に訂正をお願い致します。 (2022年2月10日 16時) (レス) @page47 id: 7b86ca7caf (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - 璃子さん» 璃子さん、短編も読んでくださり、ありがとうございます！元気に明るい「気」、そうですよね。羽生さんも頑張っていると思って、私も前向きに生活します。 (2021年11月7日 20時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エミル | 作成日時：2021年9月11日 20時
