緊張の無駄使い−９ ページ34
「それと、こっちは、手袋か。……ん、なにこの紙切れ？」
引き続き箱の中を物色していた結弦くんは、メモの切れ端を指でつまんで首を傾げる。
「俺のメアド？ あ、もしかして、高校生のときに交換したときの？」
「うん」
震災後、図書館で結弦くんと偶然再会した。結弦くんのメアドが手書きされた紙は、私にとって大切な思い出。
他にも海外遠征のお土産でもらったキーホルダーとか、初めてデートした公園のシロツメクサを押し花にしたものとか。
他人からすればガラクタでも、私にはかけがえのないもの。
「え、じゃあ、このマスカット味のチューイングガムは？」
「結弦くんからもらったガムだよ。覚えていないだろうけど……」
「マジか。食べなかったの？」
「……もったいなくて」
開き直った私が答えると、結弦くんは箱を膝の上に抱えたままじっと見つめた。
ドン引きされた？
十年前のものを後生大事に保存しているとか、ストーカーまがいの行為だもんね。
「……A」
「わっ」
くるっと体ごと振り返った結弦くんにガバッと抱きしめられる。
「もー、どれだけ俺のこと好きなの？」
結弦くんは弾んだ声で言いながら、私の肩に顎を乗せてぐりぐりしてくる。
……地味に痛い。
「言葉にできないぐらい、好きだよ」
だけど、結弦くんがすごく嬉しそうで、私も素直に自分の気持ちを口にできた。
「えへへ、俺も同じ」
バカップルだなーと、つくづく思う。
幸せって、案外こんなものなのかも。
「もう怒ってない？」
窮屈な中、なんとか顔を上げると、結弦くんの形のいい唇が間近にあった。
「なんのこと？ 最初から怒ってねーし」
……調子がいいなぁ。
とぼける結弦くんにむうっとしていたら、黒い瞳が迫ってきて―――柔らかな感触が唇に触れた。
至近距離にある瞼を閉じた結弦くんの顔が綺麗で、ぼーっとしてしまう。
唇を離した結弦くんが薄く目を開けて、ふっと笑うと吐息が肌にかかる。
そのまま、もう一度重なる唇。
結弦くんのキスは、甘くて優しくて、熱っぽい。
私はいつも翻弄される。
心も頭も結弦くんでいっぱいになって、深い沼に落ちていきそうな感覚。
「……結弦くん……」
「ん、なに？」
濡れた唇はひどく色っぽい。
「どこでこんなキスを覚えたの……？」
以前から抱いていた疑問。
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エミル(プロフ) - 鹿さん» アレは……好き勝手書いておきながらですが、恥ずかしくて読み返せません(笑)とりあえず、羽生さんに土下座します。鹿さんの作品も大好きなので、ずっと書いて欲しいです！ (2022年4月30日 20時) (
レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - アレなシーンお疲れさまです！もう、悶えました（笑）リアルすぎて！もう、もう、人様の作品は読んでて楽しいです＾＾永遠に書いててほしいです！ (2022年4月30日 10時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - ころねさん» ラブラブ、喜んでもらえてよかったです(^^♪ 私もこの場面を書くのに久々にニースロミオを鑑賞しました♡ (2022年4月22日 22時) (レス) @page20 id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
ころね(プロフ) - ラブラブ楽しいです！癒やされます。永遠に続いて欲しいくらいです(♡‿♡)そしてニースロミオを見たくなりました！ (2022年4月21日 23時) (レス) id: 800fd7d527 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - 璃子さん» 勢いで書いてしまいました(笑)しばらくはラブラブです♡ (2022年4月20日 21時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エミル | 作成日時：2022年3月26日 21時
