ボーダーライン−２ ページ30
練習の終わった結弦くんとマンションまで帰ると、私は自室へ直行しベッドへダイブした。
……四時かー。眠い……。
………、……………眠いのに。なかなか寝付けない。
昼夜逆転になっているのは、私も同じ。やっぱり、自然に逆らうのはよくない。
無理に寝ようとしてもダメなのはわかったので、水でも飲もうと、私は部屋を出てキッチンのドアを開けて―――後悔した。
「あ、A」
シャワーを浴びたばかりの結弦くんが首からタオルをかけて、ペットボトルを手に立っていた。
スウェットパンツだけ身に着けた、上半身裸の恰好で。
「―――――っ！」
思わず声を上げそうになったのを何とか喉元で止める。
「どした？ 眠れないの？」
「え、あ、うん……」
可愛らしくコテンと首を傾げた結弦くんが薄く笑って、近づいて来るから……滑らかで綺麗な肌と、引き締まった体が否応なしに視界に入った。
艶のある濡れた黒髪が顔にかかって影をつくる結弦くんは、いつもより色っぽくて。
やばい……。いや、何がやばいのかわかんないけど……。
とにかく、やばい……。
「喉が渇いちゃって」
私は結弦くんの横をすり抜けて、冷蔵庫を開ける。そして、迷わず、奥に入っていたビール缶を手にした。
プシュッと勢いよく開けると、一気に喉に流し込む。
これは、酔わずにはいられない。
「ハハ、飲みっぷりいいね。A、お酒強いの？」
「ん、フツーかな」
結弦くんはアルコールは受け付けない体質らしい。どこまで清らかなんだ……。
「ねぇ、立ってないで座ったら？」
ソファに座った結弦くんが自分の横を手でポンポンと叩く。
「ううん、いい。部屋に戻るね、おやすみ」
ここへおいでっていう意味なんだろうけど、今の結弦くんに近づけるほど勇者じゃない。
―――トントン……
うつら、うつらと夢の入り口に入ろうとしていた意識の奥で、ドアをノックする音が聞こえる。
やっと寝付けそうだったのに……。私は、怠い身体を起こして、ドアを開けた。
「結弦くん、どうしたの？」
「………………」
さっきと同じ格好をしたままの結弦くんは私の問いかけに答えず、勝手に部屋にずかずかと入って来た。
「……結弦くん？」
いつもと雰囲気の違う彼に戸惑いながら、もう一度呼びかけると、
「―――あっ」
ぐいっと腕を引っ張られて、壁に押し付けられた。
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エミル(プロフ) - MERさん» MERさん、ご指摘ありがとうございます。気を付けます (2021年7月14日 23時) (
レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
MER - 所々美百合さんになってますよ (2021年7月14日 22時) (レス) id: 39acd1ff39 (このIDを非表示/違反報告)
エミル(プロフ) - 鹿さん» 鹿さん、初めまして。コメントありがとうございます。わくわくするって感想、とても嬉しいです♪羽生さん、大人っぽいですかね？今後も楽しんでいただけるよう頑張ります！ (2021年7月12日 20時) (レス) id: 68edaa3183 (このIDを非表示/違反報告)
鹿(プロフ) - はじめまして！斬新な設定にわくわくしています＾＾ここの羽生さんはとても大人っぽいですね。大人な羽生さん大好きなので、嬉しいです！更新頑張ってください！ (2021年7月12日 16時) (レス) id: ac41a7df10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エミル | 作成日時：2021年7月10日 18時
