＊見えない顔＊ ページ29
＊
五感の全てが鈍い。
ぼんやりとした視界にいる誰かがAを呼んでいる気がする。
確証はないが、徐々に感覚を取り戻していけば正体は明らかになる。
「Aー？ 大丈夫かー？」
「ミミ……」
自分とはちがう耳を持つ彼女を見てAは戻ってきたのだと理解した。
そして、血腥い未来が待っていることも。
「……うん。大丈夫。大丈夫。私は、大丈夫。ごめんね、ミミ」
Aは一方的にミミへ告げると、愛剣がある部屋へ急ぐ。
自分の身分は理解している。
だが、Aは走った。
考える前に走って、剣を持った。
手入れをされた剣は、まるでAの心配が杞憂であるとでも言うようだ。
だが、Aは夢であって欲しい地獄が現実になることを知っている。
「Aッ！！」
帯剣したAを呼び止める声が廊下に響く。
扉の方へ視線を移せば、そこにはユリウスが焦る顔を隠しもせずに立っている。
いつものAなら、そんなユリウスを揶揄って二人の言い合いが始まる。
しかし、いまのAの眼中にユリウスはいない。
邪魔をするなら容赦はしないと、言葉にせずとも殺気を向ける。
「一体何が……」
「退いて。邪魔しないで。何も言わなくていい。わかってる。全部わかってるから。アナスタシア様には謝っておいて欲しい。終わったらどんな罰でも受ける。だから、いまは」
「本当にわかっているとは思えないな。どうして君のことをアナスタシア様が迎えてくださったのか理解しているのかい？ 自分の状況がわかっている者の言葉とは到底思えない。それに、ーーそんな顔をしたAを私は見過ごせない」
ああ。
ユリウスはわかっていない。
だけど、わかっている。
Aがここを離れてからアナスタシア様の前に現れる時は来ない。
死地へ行くのだ。
レムもいない中、メイザース領で起きる惨劇を防ぐことはできない。
それでも、行かなければならない。
「言いたいことはわかる。騎士失格。そうでしょう？ でも、そんなものどうでもいいの。だって私は、私は――」
死んでも冷笑の騎士だから。
「……なんでもない。それじゃあ、私は行かないと」
扉が使えないのならば、別の出口を使えばいい。
Aは空いていた窓から身を投げ出す。
魔法で上手く足場を作り、怪我ひとつなく地面に着地する。
名前を呼ぶ声が聞こえる。
後ろを振り向かず、Aは走る。
Aの頭にはすでにユリウスはいなかった。
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零(プロフ) - 更新楽しみにしてます (2月22日 11時) (
レス) @page30 id: 679f50534d (このIDを非表示/違反報告)
綴(プロフ) - あられさん» コメントありがとうございます！サ終してしまいましたが、周りにプレイしている人はいなかったので同じ気持ちの日がいて嬉しいです。リクエストもありがとうございます！時間はかかってしまうかもしれませんが、必ず書かせていただきますのでよろしくお願いいたします！ (6月30日 19時) (レス) id: 4f48ae530b (このIDを非表示/違反報告)
あられ - 更新ありがとうございます！ 私もリゼロスは好きなキャラの色んなイラストを見ることができて嬉しかったので、サ終すごい悲しかったです。またリゼロを楽しめるゲームが出るといいですね。 番外編ですがラインハルトとの絡みが見たいです！ゆっくり待ってます！ (6月25日 1時) (レス) @page21 id: f37c856724 (このIDを非表示/違反報告)
綴(プロフ) - あられさん» コメントありがとうございます！更新を喜んでいただけて私も嬉しいです。誤字報告ありがとうございます。気づかなかったので本当にありがたいです。これからもよろしくお願い致します！ (2022年11月12日 23時) (レス) id: 8d067758b7 (このIDを非表示/違反報告)
あられ - 好きなリゼロ小説なので更新されていてとても嬉しいです！17ページですが団長が待ちくたびれているが街くたびれているになっています。これからも応援してます！ (2022年11月12日 20時) (レス) @page17 id: ac6762bdac (このIDを非表示/違反報告)
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