＊誇りを持って 3＊ ページ16
＊
「名前を存じ上げないことをお許しください、スバルの友よ。貴方には感謝を。そして、この場は私にお任せください。微力ながら彼を止める役目を与えていただければ」
「それオレに言ってるよな？ 剣聖の相手はオレには重すぎるから任せていいなら任せるけどよ」
腰から剣を抜き出して構える。
ラインハルトが兜の男に剣を向けるとは思っていないが、彼を隠すよう移動する。
「二人を止めたいのなら私が貴方の前に立つ」
ラインハルトは兜の男に自分には勝てないと言ったが、Aも例外ではない。
そもそも剣聖ラインハルトに勝てる人なんてこの世に存在するのかどうかさえ怪しい。
けれど、Aの目的はラインハルトに勝つことではない。
「A、どうして君まで」
「私は私のやりたいように、それだけ。スバルの友人が止めなくても、私が貴方に剣を振るっていた」
「僕は君と」
「ちょうどいい機会ね。貴方が私と戦う気がないことはいつものこと。それでも、いまなら私が貴方に楯突いても許される」
ラインハルトは剣聖という立場上、Aの監視も仕事に入っている。
普段はロズワールがその役目を果たしているが、演習や見回りとなるとラインハルトやユリウスに任される。
Aがロズワール以外と鍛錬をする相手はいつもユリウスかそれ以外の騎士で、ラインハルトは外で見ているだけだ。
誘ったことはあったが、その度にラインハルトは適当な理由を付けて断った。
ラインハルトと特段鍛錬を行いたいわけではなかったが、断られ続けたらAも気にする。
久しぶりにラインハルトと剣を交えられるとAの胸は高鳴る。
この場ではふさわしくない感情だが、いまのAに余裕はなかった。
頭の中で繰り広げられるいくつものラインハルトの行動に、Aはどう最初の一撃を繰り出すか考える。
ラインハルトを一瞬でも止められるのは魔法であると結論を出して魔力を練ろうとすると、先程まで嫌な静かさがあった練兵場が騒めく。
何事かとAが観衆たちの視線を辿れば、そこにはエミリアをはじめとした王選候補者たちがいた。
「残念。ラインハルトとの勝負はお預けみたい」
スバルたちとは違い真剣を手にしていたAは鞘に戻してため息を吐く。
どうやら本命の勝負もついたようで、練兵場に来る前と何も変わらないユリウスの前にスバルが転がっていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 198人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
零(プロフ) - 更新楽しみにしてます (2月22日 11時) (
レス) @page30 id: 679f50534d (このIDを非表示/違反報告)
綴(プロフ) - あられさん» コメントありがとうございます！サ終してしまいましたが、周りにプレイしている人はいなかったので同じ気持ちの日がいて嬉しいです。リクエストもありがとうございます！時間はかかってしまうかもしれませんが、必ず書かせていただきますのでよろしくお願いいたします！ (6月30日 19時) (レス) id: 4f48ae530b (このIDを非表示/違反報告)
あられ - 更新ありがとうございます！ 私もリゼロスは好きなキャラの色んなイラストを見ることができて嬉しかったので、サ終すごい悲しかったです。またリゼロを楽しめるゲームが出るといいですね。 番外編ですがラインハルトとの絡みが見たいです！ゆっくり待ってます！ (6月25日 1時) (レス) @page21 id: f37c856724 (このIDを非表示/違反報告)
綴(プロフ) - あられさん» コメントありがとうございます！更新を喜んでいただけて私も嬉しいです。誤字報告ありがとうございます。気づかなかったので本当にありがたいです。これからもよろしくお願い致します！ (2022年11月12日 23時) (レス) id: 8d067758b7 (このIDを非表示/違反報告)
あられ - 好きなリゼロ小説なので更新されていてとても嬉しいです！17ページですが団長が待ちくたびれているが街くたびれているになっています。これからも応援してます！ (2022年11月12日 20時) (レス) @page17 id: ac6762bdac (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
