ep.6 ページ8
「結構噂になってますよ。それに、ジャンがあの場に居たとかで『朝からドジってた』って言いふらしてましたし」
「なるほどね」
また聞き覚えのある名前が出てきた。
どんな人かは分からないが、もしかしたらあの時ドア越しで話していた男のことかもしれない。
でもあの時の男は私たちにタメ口だった。
でもエレンはジャンのことを呼び捨てにしている。
…ジャンという男は、私たちと一体どんな関係なんだろう。
またひとつ、疑問が増えてしまった。
目的地に付くまで悶々と考え込んでいた私は、エレンにじっと見られていたことに気が付かなかった。
「エミリさん。着きましたよ」
エレンにそう言われて私は思考を止めた。
顔を上げた先にはいろいろな器具がおいてあり、まるで訓練所の様な場所だった。
「ここは…」
そう呟いた時、後ろから声をかけられた。
「おはよう。エレン、エミリ」
「あ、ペトラさん。おはようございます!」
「おはようございます」
優しい先輩の代表みたいな人。
それがペトラさんを見ていだいた印象だった。
「なんでエミリまで畏まってんのよ。おっかしい」
くすくすと笑うペトラさん。
エレンにつられて思わず丁寧な言葉で返してしまったが、タメ口でよかったらしい。
その後も続々と人が集まってきて、私を含め6人となった。
この輪の中から察するに、私はエレンを除いた他4人と同期だと思ってよさそうだ。
だいぶこの状況に慣れてきたぞ。
今のところ特に大きな失態もおかしていないし、このまま一日が終わってくれることを願うばかりだ。
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作者名:勾 | 作成日時:2019年2月7日 17時