水面に浮かぶ ページ19
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「……そんな他人行儀に呼ばないでほしいわ。私は胡蝶カナエ。こっちは妹のしのぶ。短い期間になると思うけど、よろしくね、Aちゃん」
「はいっ！」
そう言って柔らかく微笑むカナエさんは、まるで蝶のようだ。ひらひらと可憐で、羽ばたく姿は美しい。妹のしのぶさんもそう。
こんな綺麗な二人が剣士さまなんて、ちょっと信じられないな……と思いつつ、私は立ち上がる。時間的に、そろそろ家に帰らなければ。寝かしつけた誠司が起きてきてしまう。
協力すると言った口で何だけど、今日のところはお暇させてもらおう──そう思って口を開けば、高く澄んだ声に遮られた。
「見慣れた色ね」
「えっ？」
思わず聞き返せば、しのぶさんがじっと私を見ていた。
「瞳の奥に、体の一番深い所に、どうしようもない嫌悪感がある。さっき、私は貴女の名前を聞いた訳じゃないって、気付いてたでしょう」
そう言われて、言葉に詰まる。確かに、先程の質問は私の立場を訊いたものだと気付いてた。でも。
「しのぶ」
「止めないで、姉さん。なのに貴女は名前を名乗った。私たちに……いえ、“鬼”に関わることを選んだ。どうしてかなんて、自分で分かっているわよね？」
「……何が、言いたいんですか？」
……私は、上手く笑えているだろうか。自信がない。暴かないでと。そう叫ぶ心の声を、言葉にしてあげられない。
……“理由”なんて、そんなの。
「警告よ。鬼のことを、鬼殺隊のことを知っているなら、今この町に鬼がいるということに思い至るのも当然。知らんフリは出来ないというのも無理ないわ。でも、」
そこで彼女は言葉を切ると、姉の手を引いて立ち上がらせる。後頭部で留められた髪飾りが、光を反射してキラキラと瞬いた。
「
「しのぶっ！」
「……っ、あ──」
──貴女に、何が分かるのか！
そう叫びかけた私の脳裏に──カナエさんの手の感触がよぎる。
(……ボロボロ、だった……)
記憶にある父さんや、弟のものより硬く、しっかりしていた。どれだけ努力すれば、苦労すれば、あんな手になるのだろう。
──私だって、何も知らないのに。
「鬼は殺すわ。鬼殺隊の誇りにかけて。だから、貴女は心配しないで家で寝ていなさい」
そう言い残して、姉を連れて去る彼女に。
私は。
「…………嫌です！！！！」
そう、大声で叫んだ。
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ドジ猫(プロフ) - 絵宙(えそら)さん» 一応、炭治郎の髪ってことで炭治郎本人は数に入れてないです！ わかりにくくてすみません！汗 (2020年3月30日 6時) (
レス) id: a192f6ddb7 (このIDを非表示/違反報告)
絵宙(えそら) - ページ5の「込められた想い」では、弟の数は、茂、六太、竹雄、炭治郎(漢字が違うかもしれません)で、四人だと思います。細かくてすいません。これからも頑張ってください！楽しく読ませていただいてます！ (2020年3月30日 3時) (レス) id: 63faa5bcfc (このIDを非表示/違反報告)
由亜(プロフ) - とっても面白いですね!一気に読んじゃいました。寝転びながら読んでたんで、シーツの一部分になみだのしみが・・・(泣きました)これからlet's続編で御座います!面白い小説を有難う御座いました (2020年2月24日 4時) (レス) id: d2128f7714 (このIDを非表示/違反報告)
タートル(プロフ) - 失礼致します！面白くて一気に読んでしまいました！私も鬼滅のお話を書いているので良かったらお越しください。 (2020年2月19日 20時) (レス) id: 77bb05bd52 (このIDを非表示/違反報告)
ドジ猫(プロフ) - なるは。さん» ありがとうございます！嬉しすぎて顔がにやける……！これからもよろしくお願いします！！ (2020年2月16日 22時) (レス) id: a192f6ddb7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ドジ猫 | 作成日時：2019年12月19日 0時
