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交換条件 ページ18

ドアがバタン、という音と共に
冷たい風が全身を吹き抜けていく。


流石に冬の時期、曇り空の下には
人っ子一人いるはずもなく
久々に佇む特等席は静かだった。


フェンスに手をついて景色を眺めると
校内でウロつく生徒や
教室の中でお喋りする生徒
机に突っ伏して寝てる生徒
沢山の人達が目に入る。


わたしはそんな風に
唯一第三者視点で見る事のできる
ここの風景が大好きだった。




あと1ヶ月でこの場所ともお別れか…
寂しくなるなぁ…
と、物思いにふけっていると
バタン、と後ろから音が聞こえた。



あー、いたいた。
どんだけ探したと思ってんだよ….
なんて言いながら
少しずつ近づいてくる足音。



1人になる時間が欲しかった。
何も見たくないし考えたくない。


だからわたしはここにいるのに




「寒くねぇの?」
と、平然と話しかけて来るのはマイキーだった。



何故わたしを探してた?
話でもあるんだろうか?


まさかあの子と付き合う事になった…
とか言いに来たんだろうか?


緊張と動揺で息が詰まる。



聞いてんの?

と、2人に並ぶようにフェンスに手をかけると
マイキーはこう話かけてきた。


もうすぐ卒業じゃん?
俺、やりたい事あるんだよね
手伝ってくれない?
と。



また手伝って、か。



どうせもう最後だし
最後くらいは面倒見てやろうかな…
そうすればスパッと諦めもつくだろう。
目の前でイチャつく2人を見れば
さすがにわたしだって…。




いいよ。
「その代わり、卒業式までここには来ないで。」
と、交換条件を出す。



ここはわたしの特等席だから。
大好きな場所だから。
それまではここでひとりでいさせて欲しい。
誰にも取られたくないんだ。


と伝えた。


たったこれだけなのに
涙が出てきてしまいそうで
喉の奥で何かつっかえてしまって
言葉にするのがやっとだった。




いつもなら
『俺のだし!』と言うマイキーは
今日はりょーかい、と言う。







もう言い合いにすらならない。



今まで積み上げてきたものが
簡単に壊されていく。



あれだけ言わなきゃよかった
なんて後悔していたはずの言葉達が
行き先を失ってしまう。



なんだかなぁ…


もういいや。




こんなに想ってるなんて
マイキーは知らない。



知らないなら知らない方がいい。
わざわざ話すだけムダだから。

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設定タグ:東リべ , 佐野万次郎 , 東京リベンジャーズ   
作品ジャンル:恋愛
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ミリカ(プロフ) - ゴリラの娘ですさん» うわー🥺嬉しいです!ありがとうございます♡もうすぐ終わる予定なので、楽しみにお待ちくだされ😭🙏 (2021年10月24日 22時) (レス) id: 74af4c8036 (このIDを非表示/違反報告)
ゴリラの娘です - ゑ、めっちゃ好きです。更新頑張ってください(*- -)(*_ _)ペコリ。 (2021年10月24日 21時) (レス) @page16 id: dfc5bee49e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ミリカ | 作成日時:2021年10月22日 16時

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