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“ Aのことなんか、大っ嫌いだわ ”



裕太の言葉を頭の中で繰り返しながら、中学生の頃、私にキスをした翌日に裕太が言っていた言葉を思い出す。


“ Aのことなんか絶対好きにならねーよ! ”


裕太は、昔から素直じゃなかったな。

今ならそう思えるけど、あの頃の私はまだ子供で、そんなふうには思えなかった。

裕太は素直じゃなくて、だけどそこが可愛いところなのも、あの頃から変わっていない。


変わりたい、変わらなきゃって思うのに、変わらないでほしいと願ってしまうことは子供じみてるのかな。


大切な人には、変わらずにそばにいてほしい。


そう願うことは我儘で、独りよがりでそれが相手を傷つけてしまうということを知ったのは最近だった。

もっと早く気づいていれば、もっと早く大人になれればよかったのかな。



そんなことを思いながら、実家の部屋で荷物を纏めている手が止まってしまう。

同時にスマホがベッドの上で震えて音を出した。


「……先輩、」


視線を画面にやると北山先輩、と浮かぶ。


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作者名:EM | 作成日時:2021年10月16日 3時

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