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店を出て、四人でぶらぶらと歩いているといつのまにか俺と横尾さんで並び、Aとミツが後ろの方にいた。


「…きになる?」


つい後ろを見てしまった俺を横尾さんは見逃さず、訊いた。


「…ほんとうに、Aちゃんのことが好き、なんだね。」


突然ふわりと宙に浮かばされた言葉につい顔を上げてしまうと、その言葉の持ち主は伏し目がちに続ける。


「好きっていうか…大切に、想ってるんだね。」


“好き”と“大切”。

たとえばそのふたつの違いを訊いたならばこのひとはなんて答えるのだろう。


「俺はミツのことが大切だから」


ていうか。

好き、と大切、は同時に成立するものなんじゃないのか、そんなことをぼんやりと頭の中で呟きながら、横尾さんのシュッとした横顔をみつめる。


「ミツが一秒でも多く、衣月ちゃんのいない世界でも笑ってくれるならなんだってするよ」


俺がさっきから何も答えないのに、このひとは勝手にぺらぺらと、まるで今日が初対面の相手にするとは思えない内容の話を喋っている。


「…俺、所謂“恋愛感情”っていうのかな、持てないんだ。男女問わず。だから好きとかよくわかんないの。」



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作者名:EM | 作成日時:2021年10月16日 3時

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