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「A、帰るよ」
空から突然降ってきた声に、見上げると手が差し出される。
その手を取って立ち上がると、私の服についている砂を裕太が手で払ってくれた。
「…なんで?」
「ミツから連絡来たの。さすがに一人で置いてけないからって。」
「連絡先、知らないって…」
「知ってるって言ったら、Aがしつこく聞いてくるでしょ」
「…裕太の嘘つき、最低っ」
「はいはい。もう嘘つきでも最低でもなんでもいいですよ」
海に沈んでいく夕陽を背景にして、慣れたように私の手を引く裕太に、子供の頃に戻ったみたいでつい笑ってしまった。
「…ゆうくんち夜ご飯なに?」
「チャーハン。」
今までと違うのは伸びた裕太の身長と、低くなった声と大人の男の人みたいな香水の匂いと、知らないうちに大きくて逞しくなっていた、だけど相変わらず真っ白な裕太の手。
背中も、なんだかまた大きくなったみたい。
「チャーハンやった!」
「早く帰ろ。はらへったー」
海沿いの坂道を自転車で走って、波の音を聴きながら砂浜を駆け回って、潮風を吸い込んではしゃいでいた私も裕太も、いつのまにか大人になってしまっていた。
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EM(プロフ) - mgさん» そうだったんですね、嬉しすぎます…!励みになります、ありがとうございます。 (2021年9月19日 2時) (レス) id: 3db90ced5d (このIDを非表示/違反報告)
mg(プロフ) - 私が初めて登録した、お気に入り作者さんはEMさんなんです。また新作を読む事ができて、うれしいです! (2021年9月5日 20時) (レス) id: 4c5f83450d (このIDを非表示/違反報告)
EM(プロフ) - mgさん» またmgさんに読んでいただけて嬉しいです。ありがとうございます! (2021年9月5日 3時) (レス) id: 3db90ced5d (このIDを非表示/違反報告)
mg(プロフ) - 新作、嬉しいです。これから、とっても楽しみです。がんばってください! (2021年9月4日 5時) (レス) id: 4c5f83450d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:EM | 作成日時:2021年9月3日 20時