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「北山先輩!住所っ…言えますか?」



すでに半分まぶたを閉じてしまっている北山先輩の肩を揺らしながら、大きい声で何度も訊く。

なんとかタクシーに乗り込んだのはいいものの、停車したまま車内で同じ質問をひたすら繰り返していた。


「…お姉さんね、申し訳ないんだけど、さっきからずっとメーター進めちゃってるんだよねぇ」

「すいません…どうしよう…」


北山先輩は私の膝の上に頭を置いて横になると、ついに目を閉じてそのまま寝息を立て始めるから、諦めて運転手さんに自分の住所を伝えて発車してもらった。



「……き、」


走り出したタクシーの窓から外の明るい光を眺めていると、小さく声が聞こえる。


「…先輩?」


すやすやと、私の太腿の上に頬を置いて眠っている北山先輩の横顔をみつめる。


「つ…き…」


目にかかっている前髪を指先で退けると、北山先輩の長い睫毛が窓の外の電灯に照らされた。


本当はさっきからずっとバクバクしている心臓がさらに速く音を立てていく。



そっと、包み込むように頬に触れた。



「…い、つき」



閉じられた目の端できらりと光るのが見えて、咄嗟に北山先輩の手を握ってしまう。





衣月(いつき)……」





せめて夢の中だけでも、どうか二人また逢えていて、そう願うことしかできなかった。





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EM(プロフ) - mgさん» そうだったんですね、嬉しすぎます…!励みになります、ありがとうございます。 (2021年9月19日 2時) (レス) id: 3db90ced5d (このIDを非表示/違反報告)
mg(プロフ) - 私が初めて登録した、お気に入り作者さんはEMさんなんです。また新作を読む事ができて、うれしいです! (2021年9月5日 20時) (レス) id: 4c5f83450d (このIDを非表示/違反報告)
EM(プロフ) - mgさん» またmgさんに読んでいただけて嬉しいです。ありがとうございます! (2021年9月5日 3時) (レス) id: 3db90ced5d (このIDを非表示/違反報告)
mg(プロフ) - 新作、嬉しいです。これから、とっても楽しみです。がんばってください! (2021年9月4日 5時) (レス) id: 4c5f83450d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:EM | 作成日時:2021年9月3日 20時

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