50 ページ10
.
梅雨が明けた。
研修を始めて二ヶ月が経ち、週に数回来る藤ヶ谷さんに少しずつ仕事を教えてもらっていた。
新しい店舗は来年にオープンするらしい。
ここ最近は他の店舗を回って忙しそうにしていた店長が、今日は久しぶりに朝から顔を出していた。
「新店舗の準備で、今から忙しそうですね」
「そうなのよ。今回出す新しい店舗はね、今までと少し変えてみようかなと思っててさ」
「そうなんですか?」
「実はね、コンセプトからメニューまで、全部太輔に一任しようと思ってて。」
「藤ヶ谷さんに?」
「そう。聞いてなかった?だから最近、俺もバタバタしてるし太輔も忙しそうでね、悪いなと思ってはいるんだけど」
「…そうだったんですね」
「新しい店舗では、Aちゃんに太輔をサポートして貰えたらいいなと思ってたの。だから、Aちゃんがうちに残ってくれて本当に助かってる」
「いえ、私は役に立てるかどうか…」
「…Aちゃん見てるとね、昔の太輔思い出すよ。Aちゃんも太輔も働き者で、真面目な所がそっくりで。だから、新店舗には本当に期待してるんだよ。」
「あの、なんだか急にプレッシャーが凄いです…」
「っはっはっは、そんなに気負わなくていいのよっ」
女性っぽい口調になる店長が、派手に笑いながら励ますつもりでバシンと私の肩を叩いた。
…ということは、新しい店舗の店長は藤ヶ谷さんという事になるのかな。
ふと、凛が言っていたことを思い出す。
藤ヶ谷さんは、こうなることがわかっていて、店長の会社に就職する事を選んだのだろうか。
.
276人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:EM | 作成日時:2016年8月16日 2時