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梅雨が明けた。


研修を始めて二ヶ月が経ち、週に数回来る藤ヶ谷さんに少しずつ仕事を教えてもらっていた。

新しい店舗は来年にオープンするらしい。


ここ最近は他の店舗を回って忙しそうにしていた店長が、今日は久しぶりに朝から顔を出していた。



「新店舗の準備で、今から忙しそうですね」

「そうなのよ。今回出す新しい店舗はね、今までと少し変えてみようかなと思っててさ」

「そうなんですか?」

「実はね、コンセプトからメニューまで、全部太輔に一任しようと思ってて。」

「藤ヶ谷さんに?」

「そう。聞いてなかった?だから最近、俺もバタバタしてるし太輔も忙しそうでね、悪いなと思ってはいるんだけど」

「…そうだったんですね」

「新しい店舗では、Aちゃんに太輔をサポートして貰えたらいいなと思ってたの。だから、Aちゃんがうちに残ってくれて本当に助かってる」

「いえ、私は役に立てるかどうか…」

「…Aちゃん見てるとね、昔の太輔思い出すよ。Aちゃんも太輔も働き者で、真面目な所がそっくりで。だから、新店舗には本当に期待してるんだよ。」

「あの、なんだか急にプレッシャーが凄いです…」

「っはっはっは、そんなに気負わなくていいのよっ」


女性っぽい口調になる店長が、派手に笑いながら励ますつもりでバシンと私の肩を叩いた。


…ということは、新しい店舗の店長は藤ヶ谷さんという事になるのかな。

ふと、凛が言っていたことを思い出す。


藤ヶ谷さんは、こうなることがわかっていて、店長の会社に就職する事を選んだのだろうか。


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作者名:EM | 作成日時:2016年8月16日 2時

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