Flamingo -2- (ページ9)

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慌ただしいお昼が過ぎて少し暇になったところで、藤ヶ谷さんから休憩を取るように言われて事務室に入る。

さすがに今日はちょっと疲れたな…、そう思いながら項垂れていると、ドアをノックする音がして返事をする。

「これ、食べられそう？」

藤ヶ谷さんがトレーを持って入って来ると、アイスのスペアミントティーと冷たいトマトスープを机の上に並べた。

「食べられないかもしれないけど、何かお腹に入れとかないともっと気持ち悪くなっちゃうから。ね？」

「すみません、ありがとうございます…。」

「トマト嫌いだった？」
「好きです！」

いただきます、とスプーンを口に運ぶと、さっぱりしたトマトの酸味と甘みが一緒に口の中に広がる。

「美味しい…！っです」
「本当に？よかった。」

「これ、メニューにないですよね？」
「うん。作ってみたの」

「ごめんなさい、わざわざ…忙しいのに」

「ううん、気にしないで。試作も兼ねてるし。Aちゃんが美味しいって言ってくれたから、大成功」

じゃ、それ食べてゆっくりしててね、そう言って藤ヶ谷さんはキッチンに戻った。

アイスティーを飲むと、ミントが鼻を抜けて頭がすっきりして、途端に気持ち悪さがなくなった気がした。

その日は結局夕方までお客さんが途切れずに忙しくて、退勤の時間になってもバタバタとしていた。

「Aちゃんもう時間だから、上がって？」
「いえ、クローズまで残ります」

「今日朝からいるでしょ。一日中働き通しになっちゃうからだめ。明日もあるから、今日はもう帰って」

「…でも、藤ヶ谷さんも一日中いますよね？だめです。私も手伝います。」

そう言うと、藤ヶ谷さんは少し驚いた顔をして、すぐに眉を下げて笑う。

「…俺はいいの。明日はこっち来れないし。ね？そんな余計な心配はしちゃだめ。帰ってちょーだいっ」

言いながら私の肩を押して、キッチンから出されてしまうから渋々帰る支度をした。

帰り際に、忙しそうにする藤ヶ谷さんの方を見ると“気をつけてね”と口が動くのが読めて、会釈をしてお店を出た。

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