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忙しかったクリスマスが終わって、明日はあっというまに大晦日。

元日はお店を開ける代わりに、大晦日は毎年定休日になっている。


クリスマスのデコレーションも片付けて、この間店長に頼まれて買って来た簡単なお正月飾りをデスクの上に並べた。



ひとつ手に取り、なんとなく上にかざしてみる。



高校生の頃は、毎年凛の家で年越しをしていた。

凛の両親は温かくて優しくて、私に本当の家族にするみたいに接してくれた。

そんな遠い記憶の、お正月。





「A?」


太輔の声に振り向いて、手に持っていたお店の入り口に飾る小さいしめ飾りを置いた。


「太輔、おはよう」
「どした?」

「ううん、なんでもない」
「それ、飾ろうね。明後日」

「…うん」




“そういうこと”はあれから一度もしていない。


太輔はちゃんと私の気持ちを汲み取って、私のことを考えてくれる。

信じられないくらいに優しい。

だからこそ、それに甘えてしまう自分が嫌だった。


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作者名:EM | 作成日時:2016年8月16日 2時

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