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お店を閉めた後、カウンターに座ってメモを取った内容を整理していると、事務室から出てきた藤ヶ谷さんが隣に座る。
「…勉強熱心だね」
「いえ、物覚え悪いからとにかく書かないと覚えられなくて…」
「教え甲斐があるよ」
藤ヶ谷さんが私の頭にぽんぽん、と軽く触れた。
裏口から一緒にお店を出て、鍵をかける。
「今日はありがとうございました」
「おつかれさま。」
「お疲れ様でした。おやすみなさい」
軽く会釈をして、家の方向へ向き直って歩き出す。
「Aちゃん」
手首をそっと掴まれて振り返ると、藤ヶ谷さんはすぐに手を離す。
「やっぱり家まで送らせて。お願い。もうこんな時間だから」
そう言われて腕時計を見ると、23時を過ぎていた。
お店から家までの帰り道には慣れているけど、多分断っても藤ヶ谷さんはどうしてもと言ってくれるんだろう。
そう思って、断るのを諦めた。
「今度、私も凛に藤ヶ谷さんのこと聞いてみます」
横に並んで歩きながら、思い出して言った。
「いいよ。別にやましいこと何もないもんっ」
「…言いましたね?私、凛と中学校から一緒で、なんでも話せる仲ですから」
「なにそれー?Aちゃんの方が俺よりも凛ちゃんと仲良いっていう脅し?のろけ?」
「そうですよ、どっちもです」
「ふふふ」
そんな話をしながら、あっという間に家の前に着く。
「すみません、わざわざ家まで送って下さって。有難うございました。」
「ううん、ごめんね。お節介しちゃって」
「いえいえ。藤ヶ谷さんもお気をつけて」
「うん、ありがと。じゃあまたね。おやすみ」
部屋に入って鞄から携帯を取り出すと、数時間前に、凛からメッセージが届いていた。
“太輔くんと一緒に働いてるんだって?”
明日返信をしようと思って携帯をテーブルに置き、洗面所へと向かった。
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作者名:EM | 作成日時:2016年8月16日 2時