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最後まで片付けを手伝ってくれた玉ちゃんが帰るのを見送って、キッチンの照明を落とした。
事務室に入るとちょうど太輔も仕事が一段落着いたみたいだったから、冷蔵庫からケーキを取り出して持って行く。
「美味しい…っ」
ケーキを一口食べると、あまりにも美味しくてびっくりする。
「…太輔、こんなのも作れちゃうの?太輔に出来ないことって…ある?」
「そんなに美味しい?よかった、ふふ」
あっというまに食べ終えてしまうと、太輔が自分のお皿に乗ったケーキをフォークに取り、私の口元に持ってくる。
口を開けると、太輔がフォークをずらして生クリームが思いきり私の鼻についた。
「…やると、思った」
私を見て太輔が笑いながら、鼻についたクリームを指で拭って、それを私の顔の前に差し出した。
「はい、どうぞ」
完全にスイッチが入った太輔は、悪戯をする子供みたいに笑う。
「早くして?」
諦めて、渋々唇を指先に持っていくと、フォークでまたクリームを掬い取るから嫌な予感がしてしまう。
「…こっちも」
そう言って太輔が、今度は自分でクリームをつけた唇をトントンと指で叩く。
しょうがなく顔を近づけようとすると、太輔の方から近づいてきてすぐにクリームが口中に広がっていく。
甘くて、甘くて、だけどそれは砂糖じゃなくて太輔がするキスそのものの甘さみたいで。
座っていたのに、夢中になりながらいつのまにか机の上に寝かされている体勢になってキスが続く。
太輔が私の手に指を絡めて、もう片方の手は机について体を支える。
そのうちに私の服の中に指が入ってくるから、太輔、と名前を呼ぶけど全く聞こえている気配はない。
店内に私達の他には誰もいないけど、鍵…施錠はまだしていないし…、そんなことをキスの合間に頭の片隅で考えながら、それでも絡まっていく指先を解けそうもなかった。
ドアが開く音がして、二人で顔を見合わせる。
「ワーオ……。」
太輔と同時に振り向いた視線の先には、事務室のドアを開けた玉ちゃんが、両手で口を覆いながら立っていた。
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作者名:EM | 作成日時:2016年8月16日 2時