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花火が終わって駐車場に戻り、まだ道が混んでいるから少し時間を潰そうととりあえず車に乗り込む。
「…あ、あの、コンビニで飲み物とか買ってきましょうか?」
何の音もない車内で、無性に恥ずかしくなってきて藤ヶ谷さんの顔を見るのも憚られる。
「どした?恥ずかしくなっちゃった?」
全く余裕みたいに藤ヶ谷さんは優しくそう言うから、自分だけ恥ずかしくなっていることにもっと恥ずかしくなって、とりあえず車の外に出ようとドアハンドルに手を掛けた。
「…っもう、いいです」
藤ヶ谷さんが運転席から身を乗り出してきたかと思うと、私の手を取ってそのままドアが閉じられてしまう。
「よくないよ」
言いながら藤ヶ谷さんの手が頬に伸びてきて、逸らしていた視線がぶつかると自動的に唇を合わせてしまう。
深くなるキスに何も考えられなくなってきて、腕を掴む。
すぐに息ができなくなるのに少しも逃してくれそうもなくて、ただ呼吸を合わせてついていくのに必死になってしまう。
「ふじ、がやさん……っ」
助手席のドアハンドルに置かれている、藤ヶ谷さんの右手を掴む。
「藤ヶ谷さん、じゃ…ないでしょ?」
唇が離れる僅かな瞬間にそう言って、またすぐに塞がれてしまう。
「…名前、呼んで?」
息苦しくて肩をトントンと叩いてみても一向に止める気配がなくて、これじゃ呼びたくても呼べないよ、そんなことを考えながら腕をぎゅっと握った。
やっと唇が離れた隙に、声を漏らす。
「たい、すけっ…」
私の顎を親指の腹で撫でると、嬉しそうに笑った。
「よくできました」
満足そうにキスをひとつ落としてから「近くのお店入ろっか。お腹空いてない?」そう言って車を降りる。
さっきから自分だけドキドキさせられていることに、また恥ずかしくなって俯く。
「A?いこ?」
藤ヶ谷さんが外から助手席のドアを開けると手を差し出すから、大人しくその手を取った。
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作者名:EM | 作成日時:2016年8月16日 2時