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「もう少しで着くよ。駐車場はね、いつも停めてる穴場があるから大丈夫」

「…海、よく行くんですね」

「うん。最近は忙しくてあんまり行けてないけど、サーフィンするから」


確かに日に灼けているし、服装とかもなんとなく海が似合う。そう思って、言った。


「イメージ通り、です。」
「それって良いの?褒められてる?」

「…どうでしょう?」


A、俺のことからかってるでしょ!って藤ヶ谷さんが言うから「いつものお返しです」と言い返して二人で笑った。






無事に駐車場に着き、車を停めた。


「運転、ありがとうございました」
「どういたしまして。」

「こんな所に駐車場があったんですね」

「…ね、穴場でしょ?今日なんてどこも空いてないだろうから」


駐車場から細い路地を抜けて、大きい通りに出ると人が途端に増えて歩きづらくなる。


「大丈夫?」


藤ヶ谷さんが私の顔を覗き込んで言って、右手を取った。


「…ごめん。はぐれちゃうから、いい?」


黙って頷き、人を避けながら少しだけ前を行く藤ヶ谷さんの手に引かれて歩く。


横断歩道を渡ろうとすると信号が赤になり、青になるのを待っていると向こう側にいる人混みの中に凛をみつける。


その隣に居るミツと、多分目が合った。


信号が青になり、歩き出す藤ヶ谷さんに続く。

反射的に下を向きながら、そのまま横断歩道を渡りきった。


「今さ、凛ちゃんいたよね?」

「そう…ですか?」
「男の人といたけど、彼氏かな。A、知ってた?」

「…はい。高校からの同級生で」
「ってことは、Aとも同級生?」

「はい」

「なんだー、教えてくれればよかったのに」


すぐに建ち並ぶ海の家が見えてくると「あ、かき氷食べようよ」と藤ヶ谷さんが言って、二人で列に並んだ。



歩道から砂浜へと続くコンクリートの低い階段に、並んで腰を下ろす。

一つだけ買ったかき氷を二つのスプーンで一緒に食べていると、何かに気づいたように、藤ヶ谷さんが私の顔をまじまじと見ながら動きを止めた。


「ねえ…すっごいピンクだよ?」


そう言って私の口元を指差すと嬉しそうに笑う。


「そういう自分も…、真っ赤ですよ」
「お揃いだね、っふふ」



それから飲み物を買いに行ってくれると言う藤ヶ谷さんにお願いをして、一人で座りながら、止まることなく砂に打ち寄せる波をじっとみつめていた。



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作者名:EM | 作成日時:2016年8月16日 2時

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